第17話「京都―決戦B」
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あれに星人が寄生したら、大変なことになる。というか勝てない、規模が違いすぎる。
そう思って駆け出そうし、
「っぐ!!」
胸を襲う激痛に、歯を食いしばり立ち止まった。
「……やられた」
先ほどの体当たりで胸の護符が剥がれていた。じんわりとだが、確実に血が漏れ始めている。今までムリをしていたツケもあったのだろう。一旦、ダメージの重みを認識すれば、もう止まらなかった。
体調を誤魔化してくれたネギの魔法もどこへやら。
膝をつき、熱くなる胸の痛みに呼吸が漏れる。視界が回りだし、自分が立っているのか、座っているのかさえ認識できなくなった。
「……まだ……だ」
まだ、斃れるわけにはいかなかった。
「やつを……仕留める」
頭を振り、少しでも意識の覚醒を試みる。
――もう、いいんじゃないか?
「なに?」
幻聴が胸に響いた。
――ここにはアキラだっていない。別にお前が死んでも誰も困らないだろ?
違う、これは幻じゃない。
――目を閉じろ。痛みから解放されて、楽になれる。
これは、自分だ。
とめどなく湧いてくる疑問に、タケルは軽く首をふり、それでも立ち上がる。
「そう……だな。その通り、だ」
ずっと、そう思っていた。
唯一楽しかったのがガンツのミッションで、ソレでなら死んでもいいと思っていた。ソレこそがタケルにとっての唯一の居場所だった。嘘で塗り固められた世界ではなく、命を本気でぶつけ合うミッションこそが、彼にとっての唯一の真実だったのだ。
――じゃあ、もう死んどけ。
……駄目だ。死ぬわけにはいかない。
――なぜ?
あの星人は倒しておきたい。
――はぁ?
自分の思考のはずなのに、まるで誰かが中にいるように会話を繰り返していた。これも血が足りないせいだろうか、フと思って自然とそんな気になってきた。
――一人で納得してる場合か。あの星人の実力はともかく、時間切れでお前の負けだよ。
本当に死ぬのも悪くない、だが諦められない気持ちがタケルにはあった。
ゆっくりと歩き出す。足を引きずり、腕を前に出し、木にぶつからないように、頼りにならない目で光を追う。
――おい、どうしたんだ。楽になりたいんだろ。
「……なんで、か……なんでだろう……な」
ただ、頭をよぎる。目を閉じると彼等の顔が。
――おい、おいおいおいおい。まさか、あいつらの為じゃないだろ? 何でも自分のためにしか動かなかった男だぞ、俺は?
「……は、は」
木の根に足が捕まり、転げる。
「……っ!」
気を失いそうになるほどの胸の痛みに、声もでない。そ
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