第17話「京都―決戦B」
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それでいて逃げ回っている。という強敵とはかけ離れた行動しかとっていない。
「……仕方ない」
どうしても埒が明かないと判断したのか、使わないと決めていたZガンを構える。「ひ」小さな悲鳴が耳に届き、それは単に遠ざかろうと逃げ出すのではなく、タケルの後ろに、前に、上にとあちこちに飛び跳ね回りだした。的を絞らせないための動きだろう。
確かに、その動きで正解だ。
Zガンなら障害物に関係なく攻撃を放てる。いくら逃げていても、当てられる可能性はぐんと高くなる。だったら少しでも的を絞らせない動きに移ったほうがいい。
――もちろん、タケルが何発も撃てての話だが。
今の体調では2,3発が限度だろう。
当てて動きを止めるために一発。止めを刺すためには3発以上。それが、寄生する星人を確実に仕留めるために必要な攻撃だとタケルは考えている。
星人は恐怖と逃げることに頭がいっぱいで、そもそもタケルが死に掛けていることすら忘れているらしい。
どうしてもZガンの攻撃を受けたくないのか、明らかに体力の限界を無視して星人は動き回っている。ただ狙う振りをしていれば、勝手にばてるだろうことが容易に想像できた。
「……」
無言でZガンの狙いをつけて、銃を放つフリだけをしておく。決して動きを止めることのできない恐怖にさいなまれる星人はその動きを早めることはあっても、遅くなどは絶対にしない。ましてや体力の温存など図らない。
――このまま、待つ。
ばてても、逃げ出そうと背を向けても。Zガンで確実に息の根を止める。
あとはどちらの選択肢を敵が選ぶか。
それだけ……の、はずだった。
突如、まばゆい光が森一帯を照らした。
「っ!?」
あまりの光量に目を閉じる。それでも聴覚が生きているのは幸か不幸か。
「アレだ……あれがありゃあ、てめえ如き……!!」
目が見えずにたたらを踏んでいるタケルに、体当たりを放ち、鬼が言葉とともに遠ざかっていく。
体当たりは星人なりのほんの些細な復讐だったのか、体勢を崩し、尻餅をついただけでどこかを強く攻撃された節はない。
「……しまった」
どうにか目を開けて、周囲には誰もいないことを確認。また逃したことに自分の迂闊さを呪いつつ立ち上がり、光の柱に目を向けて
「……おい、おいおい」
呟きが漏れていた。
湖から上半身だけが姿を見せている。にも関わらず、すでにその大きさは見上げねばならないほど。
前後に顔が2つ。腕も前後に1対。あのまま下半身が姿を見せればきっと足も前後に一対なのだろことは用意に想像できる。
確かタケルもその伝承は聞いたことがあった。
「両面……宿儺?」
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