第17話「京都―決戦B」
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しゃがみこみ、バネを凝縮させる。鬼達が殺到していた。タケルに迫った鬼の数、約4鬼。一斉に各々が得物を振り下ろし――。
一気に飛び上がった。
――振り下ろされた得物は標的を失い、地に着き刺さる。得物に仕留められるはずだった獲物は高く飛び越え、一気に包囲を突破した。
「……ね、ねぇ。先輩って何者?」
もはや、顔を蒼くさせるアスナに、
「私が聞きたいくらいです」
遠のくタケルの背中を見つめる刹那だった。
小さな塔が切り立つ麓。儀式用に建築されたその塔の眼前には大きな池が広がり、またその丁度反対側には大きな岩が人工的に設置されていた。岩には注連縄が巻かれ、何らかの封印が施された跡が見て取れる。
塔からは橋が延び、塔と岩の丁度、中心点。池のど真ん中で、それは行われていた。
「然れども千早振る御霊の 萬世に鎮まりたまふ事なく」
厳かな千草の声が凛として響き渡っていた。
「御心 いちはやびたまふなれば」
儀式用のベッドに寝かされた木乃香から徐々に大きな光が放たれ始めている。光は天にまで伸び、徐々に暗雲を立ちこませる。
そして――
「――生く魂、足る魂、神魂なり!!」
最後の呪文が放たれた。
大きな水しぶきが舞いあがり、一際大きくなった光は天をつきぬけ、立ちこませていた暗雲をきれに両断した。
ゆらりと光が幻想に揺れ、何らかの姿を形成し始める。
ゆっくり、ゆっくりと。
何かが、生まれようとしていた。
森の中、追いかけっこにいそしむ2人の姿。
「来るな、くるんじゃねぇよぉぉ!」
半ば半狂乱に叫びながら、それでも必死にタケルから逃げようと飛びはね、地を駆け、森に身を潜ませる。
「……黙れ」
逃げ惑う鬼にXガンが次々と放たれるが、すばしっこさに加えて木々の茂みにも邪魔されてなかなかに当てることが出来ない。
――速い。
敵の動きはまさにその一言に尽きた。
せめてここに障害物がなければまた違ってくるのだが、森の中というのが上手くXガンの弱点をついている。Xガンの威力は確かにすぐれているが、貫通力はほとんどない。ここだ、と放っても結局は木々に邪魔をされ、それを破壊するだけに留まってしまう。
ならばZガンを、とはいかない。
あれは体への反動がきついのだ。もしも外して、傷が広がって、なんてことになればもう2度と追いつけなくなる。
「くるな、来るな!」
この台詞を聞くのはこれで何度目だろうか。いい加減に苛立ちが募ってくる。
恐怖すら覚える威圧感を放つ星人、という言葉にふさわしかったのは最初のときだけだ。それ以降は詰めが甘い、頭が悪い、
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