第17話「京都―決戦B」
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てさえいれば出てくるだろう、というのがタケルの本音である。体調もあいまって、あまり全力で体を動かしたくはない彼だが、いくらか傷を回復させてもらった礼も込めて、一気に振るう。
「2人共、伏せろ!」
「「はい!!」」
既にタケルに指示されていたため、淀みなく体を地面に伏せ、頭を下げる。タケルが何をするのかが見たい2人だったが、「死んでもいいなら」とまで言われては従うしかない。
「ふっ!」
独特な呼吸で息を吐き、タケルの腕が振るわれた。
――まず1体。
踏み込んだ大地が砕けた。
――5体。
刃が伸びた。
――20体
鬼が斬られた。
――…・・・そして、40体。
それらが範囲内にいた鬼の数だった。
「……へ?」
彼等は首をかしげ、顔を見合わせ、そして「うっそ〜ん」と呟き、そのまま消えていった。
「……あ、あほな。なんじゃ今の」
ボス鬼が「反則やろ」と呟き、今しがた腕を振るったらしき男、タケルを見つめる。だが、タケルはそんなことに気付かずに視線を走らせる。
「……うそ」
「一体、何が?」
正直に顔を伏せたアスナと刹那には一体何が起こったのかはわからない。ただ、鬼が集まっていたはずの場所がごっそりときれいになっていることだけはわかったらしく、恐る恐るタケルに顔を向ける。
「……前に集中しておけ」
その言葉に、彼女達は慌てて前を向き、敵たちを見据えたのだった。
――どこだ?
ソードをホルダーに直し、Xガンを構えなおす。これ以上体に負担をかける動きはあまりとりたくなかった。
コントローラーに目を配りつつも、敵たちに目を凝らす。少しでも逃げ出そうとする鬼がコントローラーの表示する敵と一致したらそれが星人だ。
――さぁ、動け。
一応止血などはしてもらい、寿命は延びたものの、やはり万全とは言いがたい体調。速めにケリをつけたいことに変わりはない。
――いた。
迫り来る鬼たちの中、一匹だけがこちらか離れていく。コントローラーの表示とも一致している。
「……俺は自分の標的を追う」
「え、もう?」
アスナががっくりと肩を落とし、刹那が「それでも50ほど倒していただいたんですから……」と慰めている。
――結構、余裕あるのか?
ちょっと思ってしまったタケルだが、そんなはずはない。刹那はともかく、アスナはネギとの仮契約によって得た武器と魔法の防護性能に頼って戦うだけだ。いずれ数に押し込まれてしまうだろう。
だが、それでも彼女達を手伝うわけには行かなかった。
「……スマン」
言い捨て、一気に飛び越えるために足に力を溜める。
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