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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
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場では充分過ぎる答えだった。
それを受け、レンは沈黙を保ったまま静かに瞑目した。次いで、スッとあごを持ち上げて天井を閉じた目蓋越しに見る。
やがてのどから吐き出された声のいらえは、とても少年のものとは思えないほどに掠れていた。
掠れていて、そして────
覚悟を決めた者の声だった。
「……………わかった」
「………いいんだな?」
この期に及んで律儀にも確認を取ってくる《鬼》に、レンは静かに苦笑を返した。
「それが、マイのためなら」
「良い答えだ」
スッ、と《鬼》は手を上げ、差し伸べる。
愛する者を救いたいという少年を救うために。
「そして、良い顔だ」
逆境にも折れない少年に敬意を表すために。
「俺の名は狂怒。災禍より生まれし、三兄弟が次男」
少年も、手を差し出す。
《鬼》と言われようが、《殺人鬼》と罵られようが関係ない。
ただ、
愛する少女
(
マイ
)
を助けたい。
それだけだ。それ以上は、何もいらない。たとえ自分の命であっても、いりはしない。
「僕の名はレン。六王第三席《冥界の覇王》」
今更ながらの自己紹介は、それで充分だった。
あとは血で血を洗う、コロシアイの場にて済ませよう。
もう、あの古びたドアは開いている。
もう、開始のゴングは鳴っているのだ。
部屋に雪崩れ込む光の奔流の中、二人の《鬼》は固く手を握り合った。
狂楽は高らかに嗤いながら、倒れこんだまま指先一つ動かない紅衣の少年へとゆっくり歩を進めていた。
といっても、そこまで広い空間スペースは存在しない。彼我の距離は約三メートルといったところか。
途中、膝を屈して固まっていた巫女装束の女が飛び掛かって来たが、寸前で割り込んだ黒衣の剣士に阻まれた。沈黙が、鋭い金属音によって粉々に粉砕される。
「キリト!眼を覚ましてください!あなたの想い人は、アスナはあんなモノではないはずです!!」
何かをわめいていたが、《鬼》は無視して足を踏み出す。
だが、それも腰の辺りに走った軽すぎる衝撃によってまたしても阻まれた。
「レンには……、手を出させないんだよッ!」
殴った。
紫色の障壁によって手傷は負わせられないが、それでも吹っ飛ばせることはできるようだ。白い髪が宙を流れ、小柄な身体が檻の反対側まで吹き飛んだ。
距離、一メートル。
黒い前髪に隠されて見ることのできない瞳を見、アハッと狂楽は再度に渡って嗤う。
なんて弱い。
なんて脆い。
これが人間という生物か。
右手を上げ、そこに意識を集中する。ズズ、と瘴気の如き漆黒の過剰光が身体の各所から滲み出て、手のひらの
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