変態と紳士の境界線 その一
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一団を作り、旅館から集合場所へと向かっている。
その途中、俺は篠ノ之に声をかけられた。
「ベインズ、話がある」
篠ノ之箒。
一夏のファースト幼なじみ。
長い黒髪をポニーテールにしている。
この髪型にしているのは一夏が褒めたからなんだよな。
一夏とは小学生の時、同じ剣道道場に通っていたが、姉である篠ノ之束がISを開発した関係で、小学四年生の時に重要人物保護プログラムで離れ離れになった。
篠ノ之束が失踪してからは、過度な監視やら取調べと色々あったらしく、そのストレスからちょっとやんちゃな性格になってしまったらしい。
姉妹仲もあまり良くないのかもしれない。
剣道の腕はなかなかの物で、中学三年生のときに剣道の全国大会で優勝している。
「なにか御用ですか? 篠ノ之さん」
「どうしてお前は、私と話すときだけそんなによそよそしいんだ? セシリアやシャルロット、それに他の人間とは普通に話しているだろう。一夏から聞いたが、お前は私のことが苦手だそうだな」
そうなんだよなあ。
篠ノ之の口調のせいもあるんだろうが、どうも前世の記憶から、常に木刀やら竹刀を振り回している暴力女子のイメージがあって近寄り難く、苦手としていた。
マンガやアニメなら個性の一つなんだろうが、リアルとなると話は別だろう。
一夏にそのまま話した訳ではないが、篠ノ之は苦手だくらいは言ったかもしれない。
それを何かの機会に篠ノ之本人に話したんだろう。
「そんなことないですよ、篠ノ之さん」
「そんなに私のことが嫌いか? 嫌いなのか」
篠ノ之は俺の両目をしっかりと見つめ、詰め寄ってくる。
口は開いたがいいが言葉が出ない。
開いた口を一旦閉じた俺は、どう答えたらいいものかと悩み始める。
そして思いついた言葉がこれだった。
「す」
「す? って何だ?」
「好きです」
人間関係を円滑に進めるためには白だと思っていても、黒だと言わねばならない時があるだろうと思ってこう言ったんだが……世界の悪意が見えるようだよ、父さん、母さん。
「へえ、アーサーって箒みたいのが好みなわけ? てっきり年上の女性にしか興味ないのかと思ってたのに」
と鈴。
「うん。噂じゃ、みんなそう言ってるよね」
とシャルロット。
「何だ。苦手なんじゃなくて、好きだから声掛けられなかったのか」
と一夏。
「あら、アーサーさん。意外とウブなんですわね。まるで小さなお子さんみたいですわ。ふふふ」
とセシリア。
「軟弱者め」
とボーデヴィヒ。
「私の事が、す、すきなのか。そうか、そうなのか。それで話しか
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