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インフィニット・ストラトスの世界にうまれて
変態と紳士の境界線 その一
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やく思い出した。

「ああ、そう言えば『福音』戦で撃墜されたんだっけ」

そんな言葉が俺の口から漏れた。
あの『福音』戦から、一体どれくらいの時間が経っているんだろうな。
俺は臨海学校二日目に起こった出来事を思い返した。

臨海学校二日目の朝。
夢幻の世界からようやく戻ってきた俺は、顔がなにかとても柔らかい物に圧し包まれているのを感じていた。
山田先生がそばで寝ているからだろう、女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐり、まだ半ボケ状態の俺の脳ミソを刺激する。
起きたばかりでうすらぼんやりとしている俺の頭は、顔の前になにがあるのか理解できず、俺はそれが何なのかを確かめるべく手を伸ばした。
ぽよん。
こんな音が似合いそうな感触だ。
俺の手のひらでは今まで感じたことのない感触に、もう一度確かめるように触れてみる。
うん、何ともいえない柔らかさだな。
なぜかは知らないが、触れていると幸せを感じる俺だったが、このままいつまでも触れている訳にもいかず、とりあえず顔をそのなにかから離し、目の前にあるものを確認した。
そこにあったもの。
それは、山田先生の超ド級のお胸さまだった。
『超ド級』とは戦艦ドレッドノートを超えるという意味ではなく、とあるイギリス女性のドロシーから取ったもので、その女性もまたお胸さまが大きかった。
山田先生はそれをも超えているということである。
俺は寝ていた布団の上で慌てて上半身を起こす。
山田先生が昨日離したはずの二組の布団はなぜか見事にくっついていた。
謀ったな! 山田先生。
今の状況から判断すると、俺は自分の布団には寝ておらず、どうやら今回は俺が山田先生の布団に寝返りを打って侵入したらしい。
その上、知らず知らずのうちに山田先生の超ド級のお胸さまに、顔を突っ込んで寝ていたようだ。
やけにいい夢が見られた訳だ。
これから一万字ほど、山田先生のお胸さまの感触を事実と妄想を交えつつ、赤裸々に語りたいところではあるが、そんなことをやっている場合ではないだろう。
見れば、山田先生の顔は朱に染まり、目を伏せていた。

「あのぅ、ベインズくん。ちょっと大胆過ぎます。寝ている女性の、その……身体を触れるというのはどうなんでしょう。せめて、相手が起きているときに訊いてからの方がいいですよ」

訊けばいいのかとツッコむ余裕など俺にはなかった。
頭をうなだれ、両手を床につけ、絶望に打ち拉がれていた。
これではまるで、欲望に負けた俺が、山田先生が寝ている隙を狙い悪戯をしたみたいに思われるじゃないか。
だが今回は、どんな理由があるにせよ俺が悪いだろう。

「すみませんでした、山田先生」

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