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第一章 〜囚われの少女〜
王宮
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日のパーティを楽しむだけでよいのじゃ。のう」
 明日、何が起こるというのか。
 訳も分からず、姫はその場に凍りついている事しかできなかった。
 女王の悪の言葉は、徐々に思考を侵食していく。
 そうしてさらに得意げに、悪魔は微笑んだ。
「あれは、そなたと同じ顔を貼り付けた、魔女じゃ。同じ人間など二人もいらぬ」
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――


 仮面。それをつけると、普段とは違う自分になれる。
 しかし、自分の本来の姿を作っているものは内面である。
 つまりは内面が変わらなければ、仮面をつけていてもその本質は同じ。
 自分の姿を形作っているのは、誰しもが心に持つ、心の仮面。それは一人のなかにも無数に存在し、その心は表情に、顔に現れる。
 人は時と場所、場合に応じてその仮面を使い分けることが出来るのだ。

 だが、それはとれない仮面――“呪いの仮面”となると、話は別だ。
――永遠にはがれない偽りの仮面。
 見る者をおぞましい気持ちにさせるそれは、つけた者の本来の心までも変える。
 そして誰も、その人がその人であることに気づかなくなる。素顔が見えないとあれば、自分が自分だと言っても皆疑うだろう。
 また恐ろしいのは、自分さえもが自分を認識できなくなる事。
 そうして富だとか名誉、信頼や愛する者――持っていたものは全て失ってしまう。その呪いは、死ぬまで消えない。

 それは夢の中で何度も見た、体中がこわばるほどの悪夢。
「そう――仮面に呪われてるのは、私のほう」
 私は偽りの姫――レナ姫となった。夢で言われた事はきっと本当で、私は姫ではない。私が、『レナ姫』という名を語る、全くの偽物なのだ。
「私は、こんなこと望んでいない……」
 魔女――そう呼ばれた人物は、私と同じ顔をしている。
(では、なぜ?! その人物と私は同じ顔なの?!)
 自室の姿見に、青ざめた『レナ姫』の顔が映る。
――どちらの存在が“偽物”なのだろう。心の奥で、黒い思惑が密かに顔をのぞかせる。願わくば、自分がそうではないという事を。今まで自分の存在を、信じて疑わずに生きてきたのだから。
「あぁ……顔の皮を剥がれて、別の顔を貼り付けるという罰なのですか?! そんな、むごいこと!」
(私は何の罪を犯したというの? 罪を犯したのはその人物……!?)
 その人物が全くの赤の他人であるなら、この顔、またはその人の顔は人工的に作られたもの――想像するだけで身の毛もよだつ、おぞましい物だった。
「なぜなの?」
 もしかすると全くの赤の他人ではないという事もあるのだろうか。
「全く同じ顔の人間が存在するなんて……そんなこと、聞いたことないわ」
 生まれたこと自体が罪たる所以であるならば。
「それならば、私も同罪」
――自問自答を
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