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“銃”を使わない“銃使い”
その男の謎の“銃撃”
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たのがショックだったのか、それとも傍を掠めた銃弾の為か、何のアクションも起こさない。


 強盗はにやりと笑い、突如として銃弾を床に向けて放つ。着弾地点から破裂音が響いたと思うと、煙幕が上がり、視界を遮ってしまった。
 銃に込められていたのは、どうやら煙幕弾らしい。銃を剣で攻撃する際に隙を作る為のモノとして用いるのが、彼のスタイルのようだ。


(とった!!)


 強盗は煙に紛れてフードの男の背後に回り、剣を首に振り下ろす。油断なく、しかし確信を込めた表情で。



「あ……れ?」


 しかしその表情は困惑へと変わり、強盗はおかしな声を上げた。 それもその筈、首まで後数mmという所で突然刃が止まったのだ。防がれたような感触は無く、文字通り“止まって”しまっている。


そして煙が晴れ、その不可思議な現象のからくりが明かされる。


「な、おっ……!?」


 何とフードの男は、人差指と親指で刃を“摘んで”止めていた。それだけでも十分凄い事だが、フードの男は、刃を摘むどころか見る事ことすら困難な煙幕なのかでそれを行ったのだ。はっきり言えば異常である。


(い、一端距離を―――)


 強盗は咄嗟に剣を放し、距離をとろうとした―――その途端、銃声が響き、強盗は何かに胸を押されたように吹っ飛び、転がった。
 今の銃声はフードの男の方からしたものだった。が、やはり男は銃など持っておらず、BB弾さえ撃てる筈も無い。 リーダーの胸には“銃”で撃たれたような穴が開いており、その奇怪さに拍車をかけている。


もう訳が分からない……そんな顔をしたまま、実にあっさりと強盗のリーダーは死んだ。



リーダーを殺され、怯える強盗たちにフードの男は近づく。 ガタガタ震える彼等を余所に、フードの男は欠伸をした後、こう発言した。




「なぁ、“東京武偵高校”って何処にあるか、お前ら知ってるか?」



―――それは先程と変わらぬ、場の空気を読んでいない、彼個人の私情から来る質問だった。


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