第3話:ハイジャック事件−3
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つぶり再びその目を開いたとき、ヴィヴィオの視界の下端あたりに
銀色に鈍く光るものが映る。
(なに・・・?)
視線をわずかに下に動かしそれが何かを確認したとき、
ヴィヴィオは思わず息をのんだ。
自分の喉に刃が突きつけられていたのである。
それを握る彼女の父は鋭い目でヴィヴィオの目を見続けていた。
「パパ・・・」
ヴィヴィオが小さく声をあげると、フッとゲオルグの目から危険な色が消える。
そして戦場を駆ける軍人の顔が、徐々に父の顔へと変わっていった。
それと同時に彼女を立ち木に押しつける力も弱まり、最後にはその手は
彼女から離れた。
ゲオルグの服が騎士甲冑からトレーニングウェア姿へと変わる。
右手にはレーベンはもう握られていなかった。
その右手をゲオルグはヴィヴィオの頭をポンと乗せた。
「大丈夫か?」
「うん・・・」
ヴィヴィオは小さく頷くと大人モードを解除する。
小さくなった彼女の背に合わせるように屈んだゲオルグは、
ゆっくりと彼女の髪を撫でた。
「ゴメンな、怖かったか?」
「ちょっとだけ。 でも、パパはパパだって思えたからそんなに怖くないよ」
ヴィヴィオはそう言って笑う。
次に悔しそうに顔をしかめる。
「でも、本気のパパには全然かなわなかったなぁ・・・」
「それは仕方ないよ。 パパだってまだまだヴィヴィオには
負けていられないからね」
ゲオルグが苦笑しながら言うと、ヴィヴィオはわずかに頬を膨らませた。
「でも、悔しいんだもん・・・」
そして父の顔を見上げてニコッと笑う。
「だからもっといっぱい練習して、いつかパパより強くなるんだから!」
「期待してるよ。 でも、無理はしないようにね」
「はーいっ!」
満面の笑みを浮かべてヴィヴィオはその右手を高く上げた。
「2人とも、そろそろご飯だよ」
家の方から声がして2人がそちらを見ると、エプロン姿のなのはが手招きしていた。
その時、ちょうどヴィヴィオのお腹が鳴る。
「・・・お腹すいちゃった」
小さく舌を出しながら苦笑してヴィヴィオが言う。
「そうだね。パパもお腹がすいたよ。 ヴィヴィオは汗を流しておいで」
「うん」
ヴィヴィオは大きく頷くと浴室に向かって歩いて行った。
ゲオルグは庭に張り出したリビングルームから続くウッドデッキに上がると、
なのはの隣に立ち、ヴィヴィオの小さな背中を見送った。
「おつかれさま」
そう言ってなのはがタオルを差し出してくる。
「ん、サンキュ」
ゲオルグはタオルを受け取ると、額に少し浮かんだ汗をぬぐう。
「ゲオルグくんの目から見てどう? ヴィヴィオの成長は」
「またず
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ