第3話:ハイジャック事件−3
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」
ヴィヴィオはわずかに顔をしかめると、即座に飛び下がり
ゲオルグから距離をとった。
一方、ゲオルグも厳しい表情を崩していなかった。
(くうっ・・・大人モードだったらやられてたな・・・)
ゲオルグはヴィヴィオの肘うちを受け止め、衝撃でしびれている手を何度か振る。
5mほどの距離を置いてお互いを睨みつけるようにしながら
シュミット家の父娘は構えを解かずに向かいあった。
しばらく無言で向き合っていた2人であったが、不意に2人ともがほぼ同時に
表情を緩めて構えを解く。
「ずいぶんとやるようになったじゃないか。 びっくりしたよ」
「えへへ・・・、そうでしょ?」
自慢げに笑うヴィヴィオに向かって、ゲオルグはニカッと笑いかける。
「もう、受けだけの組み手は必要ないかもな。 意味がなさそうだ」
額に浮かんだ汗をぬぐいながら、ゲオルグは呟くように言う。
「そうかな? そんなこともないと思うけど・・・」
「ま、その辺の判断はノーヴェに任せるさ。
なんたって、ヴィヴィオの師匠だからな」
ゲオルグが片目をつぶりながらそう言うと、ヴィヴィオは一瞬ぽかんとしてから
にっこりと笑って大きく頷いた。
「それじゃあ仕上げにもう一本やろうか」
ゲオルグがそう言うと、ヴィヴィオは真剣な表情で頷く。
「レーベン、頼む」
《はい》
レーベンの声がした次の瞬間、ヴィヴィオの身体が光に包まれる。
その眩いばかりの光が収まってくると大きく変わったヴィヴィオの姿が露わになる。
体格は大きくなり、身長はなのはと同じくらいまで高くなり、
全体的に女性的な体つきになっていた。
そして、その身を包むのは黒を基調にしたバリアジャケット。
長い金髪はサイドポニーにまとめられていた。
ヴィヴィオはゆっくりと目をあけ、何度か軽くジャンプしたりして
己の身体の感触を確かめると満足げに頷いた。
「うん、問題なさそう。 ありがとね、レーベン!」
《どういたしまして》
少し低くなった声でヴィヴィオは大人モードへの返信を補助してくれた
レーベンに感謝の言葉を述べる。
対してゲオルグの方もヴィヴィオと同じく黒を基調とした騎士甲冑を身にまとい、
その右手にはレーベンが握られていた。
「あれ? 今日はレーベンを使うの?」
「まあな。 今日は少しだけ本気を出してみようかと思ってね」
目線を落とし四肢を脱力させた状態で、何度かレーベンの握りを
確かめるように握りなおす。
そして脱力状態のまま、ゲオルグはゆっくりと顔をあげた。
「・・・っ!!」
ヴィヴィオが思わず息をのみ、半歩後ずさりする。
「なあ、ヴィヴィオ・・・」
呼びかけるゲオル
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