第3話:ハイジャック事件−3
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て公園に到着すると、2人は立ち止まって
弾んだ息を少し整える。
「帰るか」
「うん」
ゲオルグの言葉にヴィヴィオが頷くと2人は再び走り始める。
今度は来た道を自宅へと向かって走る。
公園から15分ほどかけてシュミット邸に戻った2人は
数分間休憩すると庭の真ん中で向かい合って立っていた。
「じゃあ、いつもどおり最初は俺からは攻撃は仕掛けないから」
「うん。 じゃあ、お願いしますっ!」
ヴィヴィオはゲオルグに向かって深く一礼すると、
その小さな拳を握ってゲオルグの方に向かって駆けだした。
ゲオルグの懐に潜り込んだヴィヴィオは、その拳をゲオルグの腹に向けて突き出す。
(また速くなったな・・・)
ゲオルグはその心中でヴィヴィオのスピードに舌を巻きながらも、
それを外面には出さずにヴィヴィオの突き出した拳をひらりと
身体を1/4回転させてかわす。
ゲオルグがそうしてかわすことを予測していたかのように、
ヴィヴィオはゲオルグのわき腹をめがけてさらなる突きを放つ。
(ん? 読まれた?)
ゲオルグはヴィヴィオの的を射た追撃に少し驚きながらも、
外見上は平然とその拳を回避してみせる。
(さて、次はどんな手でくるかね・・・)
一呼吸置くだろう、そんなゲオルグの予測をヴィヴィオは裏切って見せる。
「えぇーいっ!」
威勢のいい掛け声とともにヴィヴィオの回し蹴りが
ゲオルグの方に向かって飛んでいく。
(おぉっと・・・)
ゲオルグは慌てて跳び下がり、ヴィヴィオの足を避けようとする。
腰を引いてヴィヴィオから遠ざかったゲオルグの臍のあたりを
ヴィヴィオのつま先がかすめる。
(あぶねぇ・・・)
ホッと息をつく間もなく、ヴィヴィオの次なる攻撃がゲオルグを襲う。
胴を狙ってきたこれまでの攻撃とは違い、ゲオルグの足元にヴィヴィオの踵が
迫っていた。
(ったく、手が早いな!)
ゲオルグはヴィヴィオのスピードに感心しつつ、地面を蹴って宮中へと飛び上がる。
そのまま後方宙返りでヴィヴィオとの間合いをあけようとする。
だが、それを許すヴィヴィオではなかった。
ゲオルグが顔をあげたときには既に肘を突きだした形で
ゲオルグに向かって飛んできていたのである。
「・・・チッ!!」
ヴィヴィオの速攻に思わず舌打ちしたゲオルグは、この組み手が始まってから
初めて厳しい表情を浮かべる。
(避けるには距離が足りないか・・・くそっ!)
回避をあきらめたゲオルグは、左足を後に引きわずかに腰を落として
ヴィヴィオの突撃を受け止める態勢を整える。
直後、バシッという音とともにヴィヴィオの肘をゲオルグが手で受け止めた。
「・・・っ!
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