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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第3話:ハイジャック事件−3
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ほぐし終わったのか?」

「うん」

「じゃあ、あと少しだけ待っててくれな」

ゲオルグはそう言うと、その場でストレッチを始める。

「なあ、ヴィヴィオ」

「えっ!? 何?」

芝生の上に座り込んでストレッチをしているゲオルグを眺めていたヴィヴィオは
急に声を掛けられて少し慌てて返事をする。

「学校はどうだ? もう3年生も終わりだよな」

「うーん、今はちょっとだけ大変かな。テスト期間だし。
 でも、すっごく楽しいよ。 お友達と遊んだり、あと格闘技もね」

そう言ってにっこり笑うヴィヴィオの顔を見て、ゲオルグは微笑を浮かべる。

「そっか・・・」

そう言ってゲオルグは自分の少年時代を少し思い返す。
友達らしい友達もなく、飛び級につぐ飛び級で周囲からのやっかみを集める。
そんな日々を思い出し、ゲオルグの表情は少し暗くなった。

「パパ・・・?」

ヴィヴィオに声をかけられ、ゲオルグはハッと我に帰る。

「なんだい?」

努めて明るい笑顔を作るゲオルグであったが、ヴィヴィオは不安げな表情で
ゲオルグの顔を見上げていた。

「どうしたの? なんか、パパが泣きそうな顔をしてるように見えたんだけど。
 わたし、何か悪いこと言ったかな?」

「そうじゃないよ」

ゲオルグは小さく首を振るとヴィヴィオの長い金色の髪を指で
梳かすようにしながら言う。

「ヴィヴィオの話を聞いてたら、ちょっとパパの子供のころのことを思い出してね。
 羨ましくなっちゃったんだよ」

「そうなの?」

こくんと首を傾げるヴィヴィオに向かってゲオルグは頷く。

「うん。 パパは学校を楽しいと思ったことないからね」

「・・・パパの子供のころの話って聞いたことないかも」

「聞きたいのかい?」

ゲオルグが尋ねると、ヴィヴィオは少し考えてからこくんと頷く。

「そっか。 また機会があればね」

ゲオルグはそう言って立ち上がる。

「さ、お待たせ。 いつものようにまずは走ろうか」

「うん!」

ゲオルグとヴィヴィオ、2人のトレーニングはいつも
30分のランニングで始まる。
"どんなスタイルにしろ、戦技は足腰が基本"というゲオルグの
ポリシーから来るものである。

2人は自宅を出ると住宅街の中を走り始めた。
ヴィヴィオの息が少し弾む程度のペースでゆっくり走る。
だが、それではゲオルグにとってはペースが遅すぎるので、
ゲオルグは足首にウェイトを付け、ももを高くあげるように意識して走ることで
負荷を増やしている。

2人は時折すれ違うご近所さんたちに挨拶しながら、近くの小高い丘の上にある
公園を目指して走る。
やがて、丘を登る坂道を登りきっ
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