第3話:ハイジャック事件−3
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せていいかな?」
「うん!」
ティグアンは勢いよく頷き、リビングの方へ駆けていった。
(ティグアンが俺の絵をねぇ・・・。あっという間に成長してくなぁ・・・)
ゲオルグが感慨深げにティグアンから渡された絵を見ていると、
後からパタパタという足音がする。
「あれ? まだ制服なの? ヴィヴィオはもう庭にいるよ」
背中越しになのはから声を掛けられ、ゲオルグは立ち上がった。
「今、ティグアンに絵をもらったんだよ」
「ティグアンに? どんな絵?」
「俺の似顔絵だってさ」
ゲオルグはその手にある絵をなのはに手渡す。
絵を見たなのはは柔和な笑みを浮かべた。
「よく描けてるね。 ゲオルグくんの特徴もよくとらえてるし」
「俺もそう思うよ。 ホント子供の成長ってのは早いよな」
「そうだね。 ついこの前までよちよち歩きだったような気がするもん」
「元気に育ってくれてよかったよ」
「そだね。 でも、まだまだこれからだよ」
「だな」
肩を並べてティグアンの描いた絵を見ながら話す2人のもとに、
ヴィヴィオの声が届く。
「パパー、まだなのー!?」
待ちきれなくなったヴィヴィオがゲオルグを呼ぶ。
「お姉ちゃんの方は待ちきれないみたいだよ」
なのははゲオルグに向かって苦笑する。
「判ってるよ、すぐ着替えてくる」
ゲオルグはなのはに向かってそう言うと、トレーニングウェアに着替えるべく、
夫婦の寝室がある2階へと階段を駆け上がった。
最近になって本格的に格闘技をはじめたヴィヴィオにとって、
近距離戦を得意とするゲオルグは格好の練習相手である。
トレーナーを務めるノーヴェの"いろんなタイプの相手とスパーしたほうがいい"
との言葉もあり、ヴィヴィオは貪欲にスパーリングの相手を求めた。
アドバイスしたノーヴェ自身はもちろん、学校の友人の中で同じく
格闘技を嗜む者ともジムで共にトレーニングするようになった。
そうした中、ゲオルグともトレーニングをともにするようになるのは
自然なことであったと言えよう。
今日は父娘でトレーニングを共にする日である。
トレーニングウェアに着替えたヴィヴィオは庭で準備運動をして
身体を温めつつ、ゲオルグを待っていた。
「パパ、まだかなー?」
屈伸運動をしながら呟くヴィヴィオの耳に玄関ドアの開く音が届く。
庭の芝生を踏みしめる音がそれに続き、ヴィヴィオは音のする方へ振り返った。
「もう、パパ遅い!」
歩み寄ってくるゲオルグに向かって頬を膨らませながら不平を言う
ヴィヴィオの頭を、ゲオルグは苦笑しながら軽く撫でた。
「ゴメンな。 それで、ヴィヴィオはもう身体は
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