反董卓の章
第11話 「……その時私は、盾二様についていけるのかな」
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もかく、俺じゃ無理だ。すまん……最後まで看取ってやれ。逝く時は、誰かに傍にいて欲しいはずだ」
「御遣い様……」
「すまん。俺にも救える命と救えない命がある。救える命を優先する…………恨んでくれていい」
「…………いえ。俺もダメだと思っていましたから……」
「……そばに居てやれ」
「はい……」
そこに居た兵が力なく、横になった友人の手を握る。
もう、後数分で旅立つだろう。
今の俺ではトドメを刺してやるしか出来ない。
だが、戦場ならばともかく、ここでは、な……
「……っ! 次だ! 出血は傷口より左の胸に近い部分でしばれ! 食塩水が足りないぞ! 追加どうした!」
「新しい物をお持ちしました! 瓶に分けてあります!」
「塩分量は絶対に間違うなよ! あと熱湯もだめだ! 扇いででも冷ませ!」
「水が足りなくなるかも――」
「馬の小便を使え! 洗い流したら、酒で再度洗えばいい! その間に劉表の所に伝令を出して水を分けるように頼め!」
ひとりでも多くの人の命を救う。
自己満足の極みでも……
今はそれしか出来ないのだから。
「次!」
―― 孔明 side ――
「……負傷者、五千二百四十三人。死傷者、千八百九十五人……あとは、治療所次第、かな」
「うん……朱里ちゃん、私達も手伝った方が――」
雛里ちゃんの言葉に、私は首を振る。
「私達は私達にしか出来ないことをやっているんだよ。今は盾二様に全部任せよう……そのために、無理やり明日まで時間を引き延ばしているんだし」
そう……負傷者を治療する時間。
たった一日だけど……その時間を作るために。
連合の進軍を止め、消火するという嘘をついてまで時間を作った。
『一人でも多く、梁州へ帰す』
そのためだけに。
「ここに輜重隊の治療専門の人だけ残して先に進めば……」
「ダメだよ、雛里ちゃん。それだと、重傷者は見捨てるしかなくなる。それがどうしても嫌だから……こんな茶番劇で、梁州の兵が倒れるのを防ぎたいから……」
「うん……盾二様は、偽善だっておっしゃったけど。例えそうでも……私、盾二様が誇らしい、よ」
「うん……私も。グスッ……」
誰でも死にたくはないでしょう。
でも、戦いをする以上、誰かは死んでいくんです。
でも、それを少しでも減らせるならば……
手の届く範囲だけでも救いたい。
私達は、その盾二様の言葉に、何も言えなかった。
『俺は俺の敵を殺すことを厭わない。だが、俺の味方は状況が許す限りは、どんなイカサマをしても助けたい。ラムディ爺さんのところで学んだ、俺だけのこだわりだ』
盾二様……優しすぎます。
それはいつか。盾
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