反董卓の章
第11話 「……その時私は、盾二様についていけるのかな」
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「……翠ちゃんは義を重んじるもん。大恩ある董卓さんを裏切れなかったんじゃないかな」
「でも、りゅーびさまも、連合に参加していますよね?」
「……それは」
董卓さんを助けるため――
思わず口に出かかった言葉をこらえる。
あ、危ない危ない!
袁紹さんの大天幕近くでそんなこと言ったら……
「ば、馬岱ちゃん。うちの陣にこない? 翠ちゃんのこと、皆にも聞かせてほしいな」
「皆……あ! じゃあじゃあ、天の御遣いって男の人居ます!?」
「え? ご主人様? うん、いるけど……」
「やった! たんぽぽ、その人に会いたいんです! もー毎日毎日ノロケ聞かされて、どんな人なのかってずっと――」
ガシッ!
私は馬岱ちゃんの両腕を握った。
「ふえ? あ、あの、りゅーびさん!?」
「うふふ。馬岱ちゃ〜ん。そのあたり詳しく、教えてほしいなぁ」
「あ、あの、あの……なんか、たんぽぽの腕、痛いんです、けど……?」
えー? そうかなー?
そんなに強く掴んでないよー?
それで、なにがどう『ノロケ』を言ったのかなぁ?
「さあ、逝こうかぁ。お白洲はこっちだよぉ?」
「あのあの! なんか言葉が違く聞こえるんですけど!?」
「さあさあ―――」
とはいえ、皆は今忙しいからなぁ……
愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは消火しているし、星ちゃんは柵の取り壊しをしている。
朱里ちゃんと雛里ちゃんは、軍の被害をまとめているし。
ご主人様は……
―― 盾二 side ――
「消毒液! その酒だ! 傷口に吹きかけろ! 水で体内洗うんじゃないぞ! 食塩水を使え! 泥は確実に洗い流すんだ!」
俺は血管を縫合しながら、そう叫ぶ。
食塩水でよく洗い、鉗子を外して血が漏れ出ないことを確認して、表皮を縫合する。
「痛み止めの分量、間違うなよ! ヘタしたらショックで死ぬからな!」
「御遣い様、ショックて……」
「分量間違うとその衝撃で死ぬって意味だ! 目盛りの間違いだけはするなよ!」
「はい!」
俺は縫合した部位の処置を他のものに任せて、カルテ代わりの竹簡に症状を殴り書きする。
「傷が軽いやつには甘酒を飲ませろ! 但し、絶対に一気に飲ませるなよ。ちびちび飲むように厳命しろ! じゃないと死ぬってな!」
「は!」
よし、こいつはなんとかなったな。
「次! こいつは……っ! すまん、これは致命傷だ。気休めだが痛み止めを与えて、止血してそばに居てやれ」
「御遣い様!こいつ、俺の友人なんです! なんとかなりませんか!?」
荒い息で横たわる兵。
その傍に居た別の兵が、俺にすがりつく。
だが……
「……華佗ならと
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