反董卓の章
第11話 「……その時私は、盾二様についていけるのかな」
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く噛む。
正直信じたくはなかった。
でも、間違いなく……あの男は、この戦場のすべてを支配している。
「……劉備と劉表、いえ、劉備だけに限って言います。先陣を志願したのは、董卓との繋がりを否定するため。そして最初に武功を得て、それを喧伝するためです」
「……それはわかるわ。劉備は義勇軍からの成り上がり。内政の評価は、多少内情を知る私達だから高いけれど、諸侯の中ではまだまだ侮っているものが大多数でしょうね」
「はい。それを一気に喧伝するために、劉表・劉焉との三国同盟を袁紹の前で明かしました。諸侯の眼の色も変わったと思います。そして先陣を志願し、見事に果たせば……」
「……戦に強く、刺史から州牧にたった一年で成り、そして三国同盟という謀りもこなせる……見るべきものならば、とんでもなく警戒するわね」
「はい、名実ともに一気に強大な陣営になったことを内外に示せます。これが戦略的な部分。」
「戦略……的??」
唸る華琳様の横で、秋蘭が声を上げる。
そうよ、秋蘭。
これは戦略、そして戦術的な意味があるのよ。
「戦術的には……先陣の手柄を他の諸侯に邪魔させないため。あの防御陣、そしてあの火計……あれは二重の意味があるのよ」
「!! そうか!」
華琳様が叫んで、前方の戦場を睨む。
さすがです、華琳様……お気づきになったようですね。
「そう……表向きは敵を釣りだしての防衛戦。火計は後続の守備兵の援軍を絶つという分断策。でも、違う。あれは……」
「……他の諸侯が、董卓軍に手出しできぬようにした。連合軍に対する分断策……」
「「 なっ!? 」」
華琳様の言葉に、春蘭も秋蘭も驚愕の声を上げる。
私も唸るような面持ちで、その戦場を見ている。
まさか……ここまでやるとは。
「劉備は……あの天の御遣いは、この戦場をあくまで先陣だけで倒すことを目的としています。劉備の名声のために……だから袁紹や袁術、孫策や我々には一切手を出して欲しくない。例え先陣が危なくなっても、しゃしゃり出てほしくはない。だから……」
「あの防衛陣地は文字通り、先陣以外の連合軍が前に出ないためのもの……そしてあの関の火計は、万が一にも抜け駆けして関を占領することを防ぐもの」
「相手の援軍を絶つのと、戦場を完全に操るために余計なものを入れないようにした。その上で、相手の攻撃側に包囲を印象づけ、孤立することでの士気の低下も見込んだ」
「………………」
「これで、あの関からの攻撃部隊は二択を迫られます。全滅するか、左右の崖への細道を突破して逃げるか……」
戦場は谷間を塞ぐように関があれども、崖上に登る道はわずかにある。
そこを強行突破すれば、犠牲は多くても抜け出せないこともない。
だが、それこそが逃げる者
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