反董卓の章
第11話 「……その時私は、盾二様についていけるのかな」
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
一瞬躊躇する。
認めるのか、男を。
――認めたくはない、認めたくはない、けど……
「……この作戦を考えたのは劉表なのか、劉備なのか。それとも……あの天の御遣いなのかはわかりません。ですけど……こんな、こんな策は、敵が討って出ることを知らなければ絶対立てられないはずです」
「……つまり、相手を関から出すことを念頭に置いて策が組まれていたということ? 随分前から協力者が居たということか……そういえば、劉備と董卓は仲が良かったわね」
華琳様の言葉に、私の頭が幾つもの状況を浮かび上がらせる。
劉備が連合を裏切っている――いや、劉表が共にいる以上、それはない。
いや、劉表も実は裏切っていたら――それもない、ならば最初から董卓につけばいいだけ。
連合内の情報と撹乱目的に参加――それもない、ならば先陣に立つ意味が無い。
あえて先陣になることで戦闘の長期化を狙った――これもない、ならば敵が討って出てきた意味が無い。
……そうか。
「劉備や劉表が先陣を自ら志願したのは、董卓側の仕込みじゃないことを連合に示すためだった……?」
「桂花?」
「……華琳様。私は最初、この先陣に劉備と劉表が志願したのは、敵との連携をするのではないかと思ったのです」
「さっきも言ったけど、劉備は董卓と仲が良かったわね」
「はい。ですが、防衛陣地を築いたことで、それは杞憂に終わりました。もし内応するなら、袁紹の本陣まで何もない方がよっぽど有利のはずです」
「……確かにそうね。一日も使って柵を拵えたのは、こちらの防御力を上げるため?」
「それ以上にこちらを信用させるためです。まさか裏切る人物が連合の有利になる防衛陣地など築きはしないでしょう」
「陣地を築いた上で裏切る……のも無意味ね。関があるのに連合側に柵を作る意味は無いわ」
ふと見れば、春蘭が馬鹿貌でこちらを見ている。
ああ……これはなにもわかってないわね。
まあ春蘭は放っておきましょう。
「つまり、陣地の構築は袁紹に疑心を疑わせないためであり、なおかつ敵が出てきた場合の防衛陣でもあったのです」
「……それがわからないわね。内応していないのであれば、どうして敵が討って出るとわかったのかしら?」
「………………最初にあの御遣いという男が、一人で関に向かいました。おそらく、そこで何らかの仕込みをしたのかと」
「そうね。罵声を浴びせたか、それとも出てこなければならない状況にでもしたのか……」
華琳様はよくわかってらっしゃる。
たしかにあの時に何かをしたのだ、あの男は。
でなければ説明がつかない。
「そして防衛陣地での防御戦。まさかね、まさか、と思うわね。攻撃側が守勢に回り、本来守備する側が守備する場所を捨てて攻撃して
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ