反董卓の章
第11話 「……その時私は、盾二様についていけるのかな」
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―― 荀ケ side 水関 ――
劉表はバカなのかしら?
先陣が、防衛陣地を一日かけて築いていると知った時、私はそう思った。
何故攻撃側が防衛陣地など作るのか、その真意がわからなかった。
だから私は、先陣に密かに細作を放ち、その状況を確認させていた。
そして結果は……水関を囲む谷間を塞ぐように柵が建てられ、柵の外に出るには左右の崖の傍の、僅かな隙間のみという状況だった。
そして、そこには関羽や張飛といった豪傑の部隊が鎮座していたのだ。
(考えられることは……敵を釣りだした上で、柵の防御を使っての鶴翼、もしくは半包囲の偏月の陣――)
普通やるか? と思った。
攻撃側が防衛戦をするなどと。
敵が退ける状況で防衛陣地など……
(先陣に攻める気がない? 時間を浪費するだけの、消極的な策。バカなことを)
敵が関に篭もる以上、防衛する意味などない。
何を考えて陣地を作るのかと鼻で笑っていた。
そう――――さっきまでは。
「…………うそ、でしょ」
思わず呟く。
あの天の御遣いという、薄汚い黒く汚らわしい男が関へと一人舌鋒に向かったと思ったら、その後すぐに敵が討って出てきた。
ありえなかった。
何故、防御側が自陣に有利な場所を捨てて野戦をしようというのか。
敵は数十万もいて、野戦をして尚兵力があるというのか?
いいえ、それはない。
水関が如何に堅固であろうとも、そこに駐留できるのは最大でも十万程度。
東の関全体でならともかく、一つの関で十万を越える大軍を配置することの意味は無い。
私ならば……虎牢関と水関で兵を二分させて、水関の防衛をさせつつ罠を張り、その間に敵の陣容と兵力の詳細を調べさせる。
その上で、最後は水関を放棄させて罠にて打撃を与えておき、虎牢関で決戦させる。
だが、敵はたった三万で野戦を仕掛けてきた。
正直言えば、予想外。
まさか防御側が出てくるなど……
だが、劉表や劉備は……いいえ。
あの黒ずくめの男は、それを見越して陣地を作っていたとしたら。
最初から、防衛戦になるとまで読んでいたとしたら。
そんなこと、神でもなければ予測なんて――
「桂花? 聞いているの、桂花?」
「――――――」
「はあ……聞こえないのか、荀文若!」
「っ!? は、ハイッ!」
字を怒号で呼ばれ、ようやく振り返った私。
そこには華琳様、春蘭、秋蘭がいた。
わ、私は、華琳様が傍に居たというのに、気付きもしなかったというの……?
「これはどういうことかしら、桂花。貴方の意見が聞きたいのよ」
華琳様の言葉に、
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