第七十五話 恐怖劇の始動
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なく、ただ彼らに部屋を退室する様に促した。その後、彼は指令を下す為に私室へと戻ってきていた。そうして私室に戻ってすぐに一つの通信が届く。彼の予想通り、それはミネルバからの通信だった。
『アスランから話は聞いたわ。ギル――――あなた一体どういうつもりなの?返答次第では私としても貴方に従うわけにはいかなくなるわ。それとも、今回の件はレイの勝手な独断行動とでもいうつもり?』
「いや、おそらくは君の予想している通りだよ、タリア。アレは私の、ともすれば私の友の代弁者なのだからね。そして、君ならば私の意図は既に読めていると思うのだが?」
普段通りの余裕の笑みは消えることがない。まるで人形のようだと自嘲気味に内心で己を嗤う。
『冗談言わないで……いつまでも恋人ごっこを続けれる関係じゃないのはわかるでしょう……あの時、貴方がオーブを選んでいてくれたなら、状況はまた違っていたかもしれないけど』
恋人ごっこ……事実ではある。コーディネーターは遺伝子の可能性を根絶やしにしてしまう進化の少ない存在だ。故にタリアとギルバートでは子をなすことは出来なかった。しかし、肉体的な関係は未だに続いていたことも事実だ。
互いが互いを愛していたのも事実だ。オーブに行けば結婚することも出来るとタリアに誘われもした。共にオーブへと向かう道も彼には存在していただろう。だが、彼はその彼女の手を取ることはなかった。
「私が成そうとしていることに最早オーブの理念は邪魔なだけなのだよ――――それで、君は一体どうしたいのだね?」
『すぐに戦闘を止めさせて。貴方だって味方と争いたいわけじゃないのでしょ?』
「――――残念ながらそれは受け入れられないな。君たちは政治というものをもっとよく知るべきだったかもしれない」
最早道は違えた。思えば、あの時から既にギルバート・デュランダルの向かう道とタリア・グラディスの望んだ道は違っていたのだ。
『お生憎様、貴方のおかげで私は軍人で、プラントにおいて軍人は政治を語れる様な立場の人間ではないわ』
やや皮肉を込めた返しに思わず議長も苦笑いをしてしまう。これで彼女とまともに話す機会が失われるだろうと思うと尚更その笑みは苦いものとなっていった。
「そうか……残念だよ、タリア。君たちミネルバはこれまで多大な成果を生み出してきた英雄と言える存在なのにね――――それも今日で終わることとなってしまう」
『ギル……あなたまさか!?』
「さよならだ、タリア。君と道を共にすることはもうないだろう。それはたとえ君が敵だとしても、味方だとしても……」
通信を全周波数に合わせて開放する。彼にとってこれまでの総てが予定調和だったのだ。タリアの叫びを無視してそのまま開いた回線から己の言葉を発信する。
「
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