その先の楽園
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
』。
その言葉を呟いた時、そこだけ、過去や傷や闇等とは違う雰囲気を感じた。
その発言に再び全員が押し黙った時、ルーシィが何かに気づく。
「あ・・・塔だ」
小船が向かう先。
そこには空高く伸びる1つの塔の影。
「あれが・・・楽園の塔!?」
その塔の中にいたエルザは目を見開いた。
ウォーリーとミリアーナ、ハッピーはいない。今エルザの傍にいるのはショウとシモンの2人だ。
「本当に・・・完成していたのか・・・」
「あれから8年も経つからね。俺達が完成させたんだよ」
大きな扉の前に立つエルザにショウが答える。
「歩け」
「うっ」
エルザの顔程の大きさはあるであろう手で、シモンがエルザの背中を押す。
その衝撃にエルザは顔を歪めた。
「8年か・・・変わったな、お前等も」
そのエルザの呟きに、シモンは少し沈黙した。
楽園の塔の地下。
とある部屋に、エルザはミリアーナのチューブで両腕を上にあげる形で縛られていた。
「『儀式』は明日の正午。それまでそこにいろ」
(儀式!?Rシステムを作動させるのか!?)
エルザは目を見開く。
シモンが牢を出ていき、エルザとショウの2人が残った。
「しょうがないよね。裏切った姉さんが悪いんだ。ジェラールは怒っている。儀式の生け贄は姉さんに決まったんだよ」
ショウのその言葉に、エルザは沈黙する。
「もう姉さんには会えなくなるね。でも全ては『楽園』の為」
エルザの握られた拳が少し震える。
「震えてるの?」
それに気付いたショウが口を開いた。
「生け贄になるのが怖い?それともここがあの場所だから?」
「そう簡単に逃げだせると思ったか!ガキ共がぁ!」
鞭や槍を持った男達が、楽園の塔からの逃走を図ったエルザ達を囲む。
ジェラール、シモン、ウォーリーは悔しそうに顔を歪め、ミリアーナはウォーリーに寄り添い、エルザとショウは怯えていた。
「一刻も早くRシステムを完成させなきゃならねぇこの時に!」
「まあ待て・・・これ以上の建立の遅れはマズイ。本来なら全員懲罰房送りなんだがな。今回の限り1人だけとする」
「!」
ウォーリーが顔を上げる。
「脱走計画の立案者は誰だ。懲罰房へはそいつ1人に行ってもらう。優しいだろ?俺達は。ひひひ・・・」
その言葉にジェラールとシモンは男を睨みつけ、エルザは怯えた様に震える。
子供をこんな風に扱っている時点で優しくないと思うが、男にはナツ達とは違った意味で常識が無いらしい。
「さぁ、誰だ!?立案者は」
ショウの目から涙が溢れ、震えていく。
この脱走
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ