第6章:女の決意・男の勘違い
第7話:掌の上で踊る
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(ガーデンブルグ)
リューノSIDE
格好いい……ウルフはとても格好いい!
女王の権力で犯人にされそうになってたシンを、理にかなった言い分で打ち負かして行く彼は凄く格好いい。
シンを逮捕した兵士も、一生懸命彼が犯人であることを強調してるが、ウルフに全て反論されて為す術がない。
「もう良い!」
圧倒的優勢なウルフの弁舌に、女王は痺れを切らし兵士との口論を断絶させる。
このまま諦めて、シン(私達)への疑いを取り下げてくれるのかしら?
「確かにその少年が窃盗犯である証拠はない……しかしながら先程お主も認めた通り、不法侵入罪は確定している」
「……つまり、今後もシン君を罪人として拘留し続けると?」
何だと!? そんな暇は私達にない!
「そうだ。そして余罪として窃盗の罪での捜査も続けて行く。お主の言う通り、窃盗罪の証拠はなくても、無罪である証拠も存在しない。そして少年の仲間であるお主等も、全員この国から……この城下から出ることは許さぬ! 共謀し証拠を隠滅した疑いがあるからのぅ……」
女王は意地でも私達への疑いを取り去らない……何が彼女をそうさせてるのか?
「お、横暴だ! 俺達にはやるべき事があるんだ。それなのに……はっ、まさかリュカさん……」
流石のウルフも女王の横暴さに大声を出したのだが、途中で不意にお父さんへ視線を向け、何かに気付いた様に見詰め続ける。
「ねぇアルテミア……僕から提案があるんだけど」
お父さんはウルフの視線から目を背け、女王に向かい何時もの口調で話しかける。
……『アルテミア』と言ったけど、多分女王の名前だろう。何で知ってるんだ!?
「何でしょうリュカ……今回の事に関する良い解決案でもおありかな?」
「まぁ……ね」
私も何となく解ってきた……
チラリとウルフに視線を向けると「この親父……謀りやがったな」と呟いている。
「シンが盗んだかどうかは僕には判らない。でも本人は真犯人が居ると言っている……だったら彼らに真犯人を捕まえさせようじゃないか! 真犯人の顔を見てるのはシンだけなんだし、事件解決するには大きなアドバンテージを持ってると思うんだ」
確かに言い分は正しい……しかし、
「悪くない提案ではあるが、問題がある……」
「解ってる。真犯人逮捕と言いながら、この国から逃げ出すのではと思ってるんだよね」
私達はそんな事しない! だが、そう疑われるのは仕方ない事だと思う。
お父さんが裏で糸を引いてなければ……
「そう、その問題を何とか出来ねば、この者等に任せる事は出来ぬ!」
「僕が人質になろう。第一容疑者のシンは、真犯人の顔を見てる為捜査から外す訳にはいかない。しかし僕なら、今回の事件に何の関わりもないから、捜査から外れても影響は少ない
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