暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第五十三話〜紡がれる新しき音色〜
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、目に見える範囲への対象物の転移は簡単なことであった。
 彼女がデバイスを外しているのは、ライがルーテシアの使っていたデバイスがスカリエッティの与えた物であると知り、何が起こるか分からなかった為、念の為に外しておいたためである。
 ルーテシアは遠くではあるが、一応は視認できる聖王のゆりかごを見ていた。

「ルールー、行こうぜ」

 動く気配のない彼女にアギトは声をかける。その、自分の面倒を見ようとしているアギトを見ていると、何故か心が温かく感じると思った彼女であったが、今はライからの頼み事をしようと足を動かした。



戦闘空域


 ゆりかごの上昇に伴い、管理局側は焦りを覚え始めていた。ゆりかご近辺、というよりも空に展開された敵勢力はガジェットを中心としており、ナイトメアフレームの姿は未だに確認されてはいない。
 それが、敵の配備不足なのか戦力温存なのかは分からなかったが、今この状況に置いては重要な要素の1つになっている。
 管理局側の意向としては、すぐにでも航空戦力をゆりかごの方に向けたいが、敵の戦力としてガジェットよりも厄介なナイトメアフレームがいる為、どうしても地上に戦力を割かざるを得ないのだ。
 ゆりかごをどうにかしなければならないが、敵の進行も止めなければならない。今はまだ、空と陸の戦域自体がそこまで離れていないためにお互いをカバーし合えるが、時間が経つに連れゆりかごが上昇することでそれも難しくなっていく。
 今現在、航空戦力を地上に大幅に回していることで、なんとか均衡を保ててはいるがそれでは駄目なのだ。均衡を崩す為の決め手を管理局は持ち得てはいなかった。
 それは魔力リミッターを外し、実力を十全に発揮できるようになった機動六課隊長陣も同じであった。

「スターズ1、ライトニング1現状報告!」

 航空戦力の指示を出しながら、遊撃部隊として投入したなのはとフェイトにはやては通信を送る。しかし焦りが現れるように声が大きくなってしまったことに彼女は内心で舌打ちした。

『こちらスターズ1!地上に向かうガジェットを足止めしています!』

『ライトニング1も同じく!』

「引きつけることも出来ひんの?」

 先ほどよりも幾分か落ち着いた声を出しつつも、その声には若干の疲労がにじみ出ていた。それを察したのか、彼女の問いに気不味げに2人は応答を返した。

『さっきから何回もやってるんだけど、下手に動くと私たちを無視して地上に向かおうとするから引き付けることはできないと思う。一緒にいるスターズ2、ヴィータちゃんも同じみたい』

『こっちも同じ。それにさっきは一度広く展開されて危うく戦線を下げることになりそうになった。シグナムがいなかったら危なかったよ』

「…………」

 予想以上の硬
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