キラーパンサーに転生
13きっと忘れない
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妖精さんの村に戻って、宿屋さんでお風呂を借りて。
ドーラちゃんに毎日洗ってもらってフカフカだったあたしの毛皮は、旅と戦いで汚れて雪で湿って、念入りに毛繕いしてもなんだかペッタリしてたけど。
お風呂でまたキレイに洗ってもらって、うとうとし始めちゃったドーラちゃんの代わりにベラさんにしっかり拭いてもらって、またフカフカになりました!
あたしは途中で気を抜いて毛繕いしながら休んでるときもあったけど、ドーラちゃんはずっと気を張っててくれたんだもんね。
まだ子供なんだから、疲れたところでお風呂で暖まったら、眠くもなっちゃうよね。
ベラさんがお姉さんみたいにドーラちゃんのお世話をしてくれて、宿屋さんのベッドを目指してドーラちゃんの手を引いていってくれるので、あたしもせめてもという気持ちで後ろからドーラちゃんを押してお手伝いします。
ベッドに寝かせてすぐにドーラちゃんが寝入ったのを見届けて、ベラさんがあたしに声をかけます。
「モモ。それじゃ、私は戻るけど。明日、また迎えに行くからね!また明日ね!」
「ニャー!」
うん、どうもありがとう、ベラさん!
また明日、待ってるからね!
この宿屋さんからどうやってサンタローズのおうちに戻るのか気になったけど、眠ってるドーラちゃんの足元で丸くなったら、あたしもすぐに眠くなってきて。
目を覚ましたら、もうおうちでした。
おうちのドーラちゃんのベッドで、ドーラちゃんと一緒でした。
あたしと同じ頃に目を覚ましたドーラちゃんは、なんだかいつもよりも静かな感じで、お出かけの準備を整えて。
大人のドーラちゃんにもらった本と、ビアンカちゃんにもらったあたしとお揃いのリボンをツボに入れて、地面に埋めて隠してました。
……リボン、はずしちゃうんだ。
可愛かったのに、あたしとお揃いだったのに、残念。
リボンなんてなくても、あたしがドーラちゃんのことを忘れるわけはないと思うけど。
でも、今のあたしはベビーパンサーなんだから。
人間だったときとは体の作りも感覚も、なにもかもが違うんだから。
ドーラちゃんとお別れして十年も一人でいたら、やっぱり忘れちゃうのかもしれない。
だから、絶対になくさないようにこうやって隠しておいてもらうのは、あたしにとっても必要なことなんだろうけど。
……嫌だな。
怖いな。
こんなに大切で忘れたくない人を、思い出を、忘れちゃうかもしれないなんて。
そんなのあたしが、あたしじゃなくなっちゃうような。
……大丈夫なのかな、あたし。
人間だった記憶も、ドーラちゃんと過ごしたこの時間も。
ちゃんと忘れないで十年間、過ごせるだろうか。
もしも忘れてしまった
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