キラーパンサーに転生
13きっと忘れない
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ら、全部忘れてしまったら。
ドーラちゃんとまた会えるんだとしても、そのときあたしはちゃんと、あたしのままなんだろうか。
本当にただの、キラーパンサーになってないだろうか。
あたしが人間だったことを、急に思い出したみたいに。
急にまた忘れてしまって、そのままもう戻らないなんてこと、ないだろうか。
すごく心細くなって、作業を終えて井戸の水で手をキレイに洗い終えたドーラちゃんに擦り寄ります。
「モモ?どうしたの?……あ、リボン?ごめんね、お揃いだったのに。でも、どうしても失くしたくないから。あれは、必要なものだから。大丈夫、ちゃんとまた取り出して、持って行くからね」
「……ミャー」
なんだかまた情けない声を出してしまったあたしを、ドーラちゃんが抱え込むようにしながら、優しく撫でてくれます。
……うん。
考えたって、仕方ない。
考えたって、そんなのわからないんだから。
大丈夫、もしも忘れてしまっても。
ドーラちゃんに会えたら、きっと思い出すから。
あたしを迎えにくるために、ドーラちゃんはこうやって準備してくれてるんだから。
ドーラちゃんにまた会えたのに、それでも忘れたままでいるなんて。
そんなの、あたしにできるわけがないんだから。
あたしは一人じゃ、あたしでいられないかもしれないけど。
ドーラちゃんがいるから、きっと迎えにきてくれるんだから、だから絶対に大丈夫。
忘れないでいられたからって、ドーラちゃんに会えないままであたしが一人でずっと生きていくなんてもう無理なんだから、あたしはなにも心配しないで、ドーラちゃんを信じて、待っていよう。
だから、ドーラちゃん。
あたしずっと待ってるから、だからきっと。
あたしを、ちゃんと、迎えにきてね。
地下室で待っててくれたベラさんと一緒に、三人でまた妖精さんの世界に戻って。
ポワンさまにフルートを届けて、春を呼んでもらいます。
ポワンさまの奏でるキレイな旋律に乗って暖かい風が吹いて、みるみる雪が融けて、草が地面から顔を出して、花が咲いて。
あっという間に満開になって、辺りを花吹雪が包みます。
……あ、桜だ。
桜の、花吹雪だ。
この体で見るのは初めてなのに、なんだか懐かしい。
すごく、キレイ。
舞い散る花びらに包まれながら、人間だったときの記憶が、まるでついさっきあったことみたいに、鮮明によみがえります。
……小さい頃、家族みんなでお花見したな。
お母さんがお弁当を作ってくれて、お休みの日は起きるのが遅いお父さんも、張り切って早く起きてきて。
まだ満開には少し早かったけど、すごくキレイで、桜の下で食べるお弁当がおいし
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