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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第185話】
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――道中――


「む? …………」

「ん? 篠ノ之か、こんばんは」

「…………」


 鈴音の部屋へと向かう道中、腕組みしながら曲がり角を曲がってきた篠ノ之。

 先に気づいた篠ノ之が反応するものの、その後は俺が挨拶をしても返事すら返さなかった。


「……おいおい、こんばんはって挨拶されたら普通返事くらい返すだろ?」


 そう俺が言うや、怪訝そうな表情のまま口を開く篠ノ之。


「ふん……。 貴様に返す必要ないだろう?」

「……そんなんじゃ、社会に出た時に困るのはお前だぞ? 俺が嫌いなのは構わないが、だからって挨拶返さないと人としてどうかと思うぞ、俺はな」

「……貴様以外にはちゃんと挨拶を返している。 だから問題ない」


 言ってからため息を吐く篠ノ之。

 その様子に、俺は頭をかきながらもついでだから聞いてみる事にした。


「ふーん……。 ……なあ、聞いてもいいか?」

「ダメだ、私は急ぐのでな」


 そう告げる篠ノ之だが、急ぐという割には曲がり角を曲がった時はゆっくりとした足取りだった気がするのだが……。


「高々一分だ、それも無理なら別にいいが……」


 そう俺が言うと、キツい目付きで俺を睨み付け、再度ため息をつくと壁を背にもたれかかった。

 つまり一分、時間をくれたという事だ。


「……お前さ、俺の何処が嫌いなんだ? 俺は確かに中学校の時に女子に総すかん食らったが、あれには理由がちゃんとあったからな。 ……少なくとも、俺はお前にお節介をやいたり等はするが、別にお前の邪魔はしてないはずだ。 だからこそ何故、俺をそこまで嫌うのかが気になってな」

「…………」


 もたれかかったまま腕を組むその姿は、まるで壁際のいぶし銀に見えた――多分。


 そう言うと、絶対怒るだろうから言わないが。


「……貴様は不埒で軟弱者だ、私はそんな男が嫌いだ。 ……それに、お前――いや、一夏以外の男は皆総じて私を暴力男女とでも思っているのだろ? 貴様だってそう思ってる筈だ?」

「は? ……暴力【男女】?」


 思わず聞き返すと、ハッとした表情になると共に顔を逸らした。


「……あのさ? 俺は確かにお前を暴力女とは思っているが、少なくとも暴力男女と思った事ないぞ?」

「ふん……どちらにせよ、私を暴力女と思ってる事には違いあるまい」

「当たり前だろ? 事ある事に木刀で一夏を追い回すし、美冬にも聞いたがお前さ、あの福音の時に一夏がやられて美冬に本当の事言われて頬を叩いただろ? ……美冬自身、後で倍返しって言ってたけど……結局お前を叩く事はしなかったって。 どうせ理由なんてわからないだろ」


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