4/12 新生活
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の町で一番立派な老舗旅館でね、雪子はそこの、次期女将なんだ。雪子んち目当ての観光客とかも来るし、この町それで保ってるよね、実際」
「…そんなことないけど」
俺の気のせいか。
何となく、旅館のことになると不機嫌そうっていうか…。
あんまり自慢に思ってるわけでも無さそうな感じだ。
まぁ、人それぞれの悩みは持ってるよな。人間なんだから。
「ね、ところでさ。雪子って、美人だと思わない?」
「ちょっと、またそういうこと……」
「可愛いと思うよ」
「えっ!?いや、あの……」
あれ?
またって言うくらいだから、言われ慣れてると思ったんだけどな。
「でも、里中さんも可愛いよ」
「のぇ!?い、いや、あたしは別に…!も、もう!そういう冗談はいいから!」
本心なんだけど…。
「が、学校でも雪子はすごいモテんのにさ、彼氏ゼロ。おかしくない?」
「や、やめてよいきなり。ぜ、全部ウソだからね、モテるとか、彼氏ゼロとか!あ、違った、えっと、違うから!彼氏とか要らないし。もう…千枝!」
「ははは、ごーめんごめん。だって、せっかくのなにノリ悪いんだもん。…あれ、何だろう?」
千枝の視線の先を見ると、何やら人だかりが出来ていた。
近付いてみると、警官が立ち規制線が張られている。
事件か。サイレンはこの事件か。
人だかりの中に居る主婦の人たちの話し声が聞こえてくる。
高校生が早退したやら、アンテナに引っ掛かってたやら、見たかったやら、死体はもう降ろされたやら。
嫌だね、まったく。遺族や被害者の気持ちを無視した、ただの野次馬。
でも、こんな長閑な町でもやっぱり事件はあるか。
「え…今なんて?死体!?」
視線を規制線の内側へとやると、丁度叔父さんが近付いて来ているところだった。
「おい、ここで何してる」
「事件?」
「ああ、まあ…ちょっとな。ったく、あの校長…。ここは通すなって言っただろうが…」
確かに、事件現場の近くを通らせるのは嫌だろうな。
校長がボケてたみたいだけど。
「知り合い?」
「コイツの保護者の堂島だ。あー…まあその、仲良くしてやってくれ。とにかく3人とも、ウロウロしてないでさっさと帰れ」
叔父さんが戻ろうと踵を返した時、若い刑事が大慌てで走って来ると側溝に嘔吐した。
汚なっ!
まあ、そんなにグロかったってことか。
「足立!おめえはいつまで新米気分だ!今すぐ本庁帰るか?あぁ!?」
あぁ、ってヤクザじゃないんだから…。
そう見えなくもない外見だけど。
「す…すいませ…うっぷ」
「ったく、顔洗って来い!すぐ地取り出るぞ!」
地鶏?…ああ、地取りか。
地取りは、警察用語で
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