4/12 新生活
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Dか?
「あ、えーと、里中…さん。これ、スゲー、面白かったです。技の繰り出しが流石の本場っつーか…」
やけにどもりながら喋るな。
何かやらかしたのか。
「…申し訳ない!自己なんだ!バイト代入るまで待って!じゃ」
そういうと、陽介は持っていたDVDを千枝に渡して、そそくさと帰っていこうとする。
やっぱりDVDだったのか。
「待てコラ!貸したDVDに何した?」
だがまあ、あれだけ怪しい挙動の陽介を逃がすはずもなく、千枝の飛び蹴りが炸裂。
「どわっ!…おごっ!」
飛び蹴りによって吹っ飛んだ陽介の股間を、机の角が強打。
あれは痛いよ。
「何で!?信じられない!ヒビ入ってんじゃん!あたしの“成龍伝説”がぁぁぁ……」
横から覗いてみると、確かにDVDには致命的ともいえるくらいのヒビが入っている。
こりゃダメだな。踏んだのか?
「俺のも割れそう……。つ、机のカドが、直に……」
男にしか無い2つの宝玉。痛いよなー、あれは。
雪子と千枝はよく分からない顔をしている。あの痛みは、男にしか分からんだろう。
≪作者は、股間に後輩が蹴ったサッカーボールが当たったことがあります。≫
「だ、大丈夫?」
「ああ、天城……。心配してくれてんのか……」
「いいよ、雪子。花村なんか放っといて帰ろ」
千枝はDVDを背中のリュックに入れると、雪子と一緒に教室を出て行った。
俺は陽介の肩を叩き、一言。
「ドンマイ」
校門では、死んだフナみたいな目をした男子生徒が、雪子をいきなりデートに誘ってきた。
いや、あれはさすがに無いわ。
いきなり呼び捨てで、いきなりお誘いって。
俺も心の中では下の名前で呼んでるけど、実際に呼ぶ時は名字で呼ぶぞ。
常識じゃねぇか。
3人で下校していると、千枝から何でこの町に来たのかを聞かれた。
隠すことでもないし、正直に教える。
「そっか。親の仕事の都合なんだ。もっとシンドイ理由かと思っちゃった、はは」
どんな理由を想像していたんだ。
かなりダークなことを想像してたんだろうな。
「ここ、ほんっと、なーんも無いでしょ?そこが良いトコでもあるんだけど、余所の人に言えるようなモンは全然」
「俺はこういうところ、好きだよ」
「意外。都会から来てるから、こういうところは苦手かと思った」
他の奴らならそうかも。
でも、俺は不思議とそうでもない。
「あ、八十神山から採れる…何だっけ、染め物とか焼き物とかは、ちょっと有名。ああ、あと、雪子んちの“天城屋旅館”は普通に自慢の名所!」
「え、別に…ただ古いだけだよ」
「“隠れ家温泉”とかって、雑誌とかにもよく載ってんじゃん。こ
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