第四十七話 洋館ではその六
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「しかしな」
「どうなったかは覚えてないのね」
「そうなのだ」
「ううん、それで流れ流れてなの」
「気付いたら伯爵や狼男氏、ミイラ男さんと一緒になっていてな」
「日本に来たのね」
「そして今ここにいるのだ」
八条大学にだというのだ。
「皆と共にソーセージにビールを楽しんでいる」
「いいねえ、その組み合わせって」
狼男がフランケンシュタインのその言葉に指で指し示して突っ込みを入れた。
「僕も大好きだよ」
「そうだな、貴殿も好きな組み合わせだな」
「ウイスキーも好きだけれどね」
この辺りはイギリス生まれらしかった。
「とはいっても料理は苦手だけれどね」
「イギリス生まれだからなのね」
「それでなのね」
「そうなんだよ、僕が生まれたのは三百年前だけれどね」
つまり三百歳だというのだ、妖怪としては普通の年齢である。
「その三百年の間お料理はね」
「したことないのね」
「そうなのね」
「そうなんだよ、いつも適当にパンとかオートーミールとかね」
欧州の主食を出す。
「あとは野菜の酢漬けとか卵を焼いたりとかお肉を焼いて茹でて」
「そういうのを食べるだけ?」
「そうなの」
「うん、そうなんだよ」
狼男はこう二人に話す。
「実はね」
「成程ね」
「そうなのね」
二人もその話を聞いて納得した、そして今度はドラキュラが何処からか出してきているガラスのグラスで赤いものを飲みながら言って来た。
「私はこちらjなのだよ」
「赤ワイン?」
「それが好きなのね」
「うむ、酒はこれだ」
にやりと笑いつつその赤ワインを飲んでそして言うのだった。
「やはり最も美味い」
「その辺り本当に吸血鬼ね」
「ドラキュラ伯爵らしいわね」
二人もその話を聞いて納得した、ドラキュラといえばやはり赤い飲みものであり酒となればそれになるのだ。
それでだ、三人の次のミイラ男はというと。
「余はトルコの地酒が好きでな」
「エジプトなのに?」
「エジプトは暫くの間トルコ領だった」
ミイラ男もまた歴史から話す。
「その時に飲んだのだ」
「ふうん、それでなの」
「かの英雄ケマル=アタチュルクも愛していた酒だ」
ケマル=アタチュルクは言うまでもなくムスリムだ、しかし酒好きだったのだ。それでその酒をよく飲んでいたのだ。
「そうしていたからな」
「あんたもなのね」
「長い間、何千年かはビールだった」
エジプトの酒は元々ビールだった、尚当然ながら冷えてはいない。
「しかし今はだ」
「そのお酒なのね」
「トルコの酒はいい」
実に美味いというのだ。
「何ならあんた達も飲むか」
「いや、今日は今から喫茶店に行くから」
「お酒はね」
いいとだ、二人でミイラ男に答える。
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