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ヘタリア大帝国
TURN105 スカーレット=東郷その九
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「軍全体の指揮を任せられるのはな」
「枢軸軍って人材多いけれどね」
「それでもですね」
 ムッチリーニにユーリが応える。
「何十もの艦隊を率いて勝てるとなると」
「ドイツさんしかいないのよね」
「はい、そうです」
 ムッチリーニでもそこまでは至らない、彼女はどちらかというと政治家であり軍人としてはそこまでの力量はないのだ。
 だがドイツは違う、それでなのだ。
「ドイツさんしかおられないです」
「だからお願いするわ、本当にね」
「わかっている」
 精鋭十個艦隊を割いていてもだというのだ。
「それではな」
「俺は必ずスカーレットを取り戻す」
 東郷はまたこう言った。
「その方法はある」
「かなり辛い戦いになりますね」
 秋山はここまで聞いて述べた。
「今回は」
「それは覚悟している」
 東郷もこう答える。
「だがそれでもだ」
「スカーレットさんを取り戻してですね」
「連合軍にも勝つ」
「達成出来る可能性は低いわ」
 ドロシーはここでも可能性の話をする。
「連合軍の情報が入って来たけれど」
「あのね、今回これまで以上に凄いわよ」
 その情報を持って来たハニートラップの言葉だ、彼女はこうした時はヤブ睨みになるがその目で言ったのである。
「ドクツの国家も全部来てるから、来てない国家イギリス系とイタちゃんの妹さん達だけよ」
「それでソビエトの艦隊は?」
 ランファがそのハニートラップにさらに問うた。
「やっぱりこれまで多いのね」
「三百よ」 
 それだけだというのだ。
「凄まじいでしょ」
「正直俺達も最初は誤報かと思ったんだよ」
 ハニートラップと同じく諜報も担当しているキャヌホークの言葉だ。
「けれどこれがな」
「事実、ウラルとモスクワにこれでもかと集結してるわよ」
「勝利の可能性は十億分の一」
 ドロシーはまたこの数字を出した。
「ここはレッドファランクスを優先的に倒して」
「そのうえでだな」
「連合軍とは適度に戦い」
 そしてだというのだ。
「一旦撤退すべきね」
「それが妥当だがな」
「そうしないのね」
「ここで退いても駄目だ」
 東郷は戦略家としての直感からここでチェリノブを失う形での敗北の危険をこう指摘した。
「連合軍はここぞとばかりに攻勢に出て来る」
「そして一気に押し返されるのですね」
「満州までな」
 そこまでだというのだ、秋山に話す。
「押し返されかねない」
「そうなる可能性はかなり高いわ」 
 ドロシーはまたこう言う。
「私としては満州まで退いてね」
「そこを拠点としてもう一度か」
「反撃をするべきよ」
「それが妥当だがそのうえでの反撃はかなり辛いな」
「勢いはなくなるわ」
 ドロシーはパソコンを叩いていた、ここでも。

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