TURN105 スカーレット=東郷その八
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「有り得ないでしょ」
「私もそう思うわ、けれどね」
「姉様は私達の敵なのね」
クーも深刻な面持ちである、まるで危篤の家族を見舞った後の様な顔だ。
「まさか」
「こうなる可能性は」
ドロシーも何とか冷静を保っている感じだ、普段の何があっても冷徹な、機械の様な彼女でさえそうなっている。
「一億、いえ十億分の一よ」
「そこまで有り得ないわよね」
「生きておられるだけでも」
ドロシーはこうキャロルに返す。
「有り得なかったけれど」
「それでもよね」
「まさか。レッドファランクスにおられて」
自分の席の前のノートパソコンを叩きながらの言葉だ。
「共有主義者なんて」
「どういうことよ」
また忌々しげに言うキャロルだった。
「どうすればいいのよ」
「そんなことは決まっているだろ」
アメリカが横からキャロルに強い声で言う、やはりその手は拳になっている。
「その洗脳を解くんだ」
「そしてよね」
「そうだ、ガメリカに戻って来てもらうんだ」
アメリカは率直に己の考えを出した。
「そうするしかないだろ」
「それは出来るっていうのね」
「必ず出来る」
東郷だった、今言ったのは。
「安心してくれていい」
「随分はっきりと言い切ったわね」
「俺は出来ること以外は言わない」
その態度は今も同じだ、飄々としていてかつ悠然としている。
その態度のままだ、こうキャロルに言ったのである。
「実は俺は今とても嬉しい」
「お姉ちゃんが生きているから?」
「正直諦めていた」
スカーレットはもう死んでいたと思っていたというのだ。
「本当にな。けれどな」
「生きていればっていうのね」
「生きていることから全てがはじまる」
この場合は特にだというのだ。
「希望がな」
「希望ね」
「そうだ、希望だ」
まさにそれがあるというのだ。
「後はその希望を掴むだけだ」
「おいおい、随分と簡単に言ってくれるな」
ドワイトも東郷の今の言葉には驚きを隠せない顔で突っ込みを入れた。
「洗脳を解くのはノウハウがあるけれどな」
「スカーレットに勝つことだな」
「それは簡単じゃねえぜ」
ガメリカ軍きっての名将と言っていいドワイトの言葉である。
「あの人には俺も一人じゃ適わないからな」
「そうだな、しかも一度手の内は見せた」
「それでも勝てるんだな」
「また殴り合いを挑む」
そうするというのだ。
「そして勝つ」
「来月になるわね」
キャロルは次の決戦の時を直感的に感じていた。
「レッドファランクスはソビエトの援助で突貫修理に入るわよ」
「そしてだな」
「来月には来るわ、そしてそこにはね」
来るのは彼等だけではなく、というのだ。
「連合軍も来るわよ、ジューコフ元帥達が率い
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