水晶に映る少女 両親の想い
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「この子の未来は見通すが出来なくて、定められていなく、無限にも及ぶ可能性が広がっている。どこまでもその翼を広げて羽ばたいて行ける。でも―――」
時深の過去は既に聞いている。
生まれてから死ぬまで、全ての事象が既に決まっていた。
それは覆す事は出来なくて、ただ死を待つだけ、そんな時に自身が担う神剣の一振りと出会った。
それによって見据えていた未来と言う呪縛から解放され、可能性と言う未来が垣間見えたと。
時深は羨ましかったのだろう、そんな力を持つが故に時夜が。
時深は不安なのだろう、そんな力を持つが故に時夜が。
「……怖いんです。この子には無限の未来が広がっている。もしも、神剣に取り込まれでもしたらッ!」
時深が言わんとしている事は分かる。神剣に取り込まれ、“秩序”に落ちるという事。
俺はあの異世界での戦いで、その様な存在達と相対峙して来た。
神剣の意思に侵食され、災厄と化す。それは破壊と破滅しか呼ばない。
そうなれば、彼女は“混沌”として時夜を討たなければならない。
俺の胸に寄り縋り、正面より彼女は俺の瞳を見つめて、そうして視線を逸らす。
俺はその彼女の目の端に薄く溜まった涙を、そっと拭う。
「もしかして私達…いえ、私が悪いのかもしれません。愛した人と一緒になる事、それでも充分幸せな事なのに、それ以上の事を、子供を欲してしまったから」
「それは違う…きっと大丈夫だよ。俺もお前と一緒に永遠を歩む為に契約して、準永遠存在になった。それに時夜だって、まだ話す事は出来なくてもお前を責めたりなんてしないさ」
時深を安心させる為に俺は少し強く、彼女を抱き締める。
「まだ、どうともなった訳じゃない。それにもし神剣に取り込まれ、道を踏み外しても、その時は俺達が何とかしてやればいい。それが俺達の、親の責任というものだろう?」
根拠は全くと言って無い。だが、口にした言葉の通りだと思おう。
生まれ落ちた生命、それに責任を取るのは親として当然だ。
俺は、時夜の為ならば命を賭ける想いも、そして覚悟もある。
俺がそういうと、彼女はキョトン…として顔を浮かべて、次第に笑みを浮かべる。
「ふふっ、そうですね。何事も前向き思考に、ですよね。それに私達の息子です、そんなに弱くなんてありませんよね?」
「ああ、そうだ。俺とお前の子供だよ、きっと強く育つ」
きっと大丈夫だ。確信はないがそう思う。
もし、道を踏み外したら、その時は俺と時深が目を覚まさせればいい。
だが、そうはならない様にただ願うばかりだ。
全ては神のみぞ知る、とでも言った所か。
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