そして時を刻む夜は舞い降りた。
眠る子と語らう大人
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れた存在であった。時夜は彼女の事を、綺羅お姉ちゃんと称している。
「時夜が泣き止まなくて、どうしたものかとな…」
「…ちょっと失礼してもよろしいですか?」
「…んっ、ああ」
凍夜より優しく時夜を抱き上げて、あやす綺羅。
その手際は何処か手馴れている様に思える。
「よしよし…大丈夫ですよ、時夜様……大丈夫です」
そう綺羅が優しく語り掛けてあやすと、自然と泣き止む時夜。
少女のその顔には優しげな母性が宿っていた。それを感じて、時夜の心を不思議と安堵感が包む。
「……むっ」
「…どうしましたか、凍夜様?」
「いや、父親の俺よりも綺羅の方に懐いている事に、ちょっとショックがな…」
「仕方ありませんよ。凍夜様は普段より武偵としての仕事でこの出雲に殆ど居られませんし、私や母親である時深様、環様に懐くのは当然かと」
「……よし、しばらく仕事を減らそうかなぁ」
意思を決した様に言葉にして、本気でそう考える凍夜。
その会話に耳を傾ける様に、腕の中で聞きに徹する時夜。
今話題に上がった通りに、父である凍夜は武装探偵、通称武偵を生業としている。
戦闘技術やそれに伴うものに秀でており、武偵としてのランクはRランク。
武偵において。
Rランクというのはこの世界規模で今現在、たった四人しかいない。父はその四人の中に属している。
その殆どが、既に人間を辞めた化け物、人外クラス。人外魔境なのだ。
更にお父さんは、複数の永遠神剣の所持者でその中でも一線を駕しているらしい。
これは、そう前に語り聞かせてくれた話だ。
その話を聞いて俺はここが“緋弾のアリア”の世界だと確信した。多少変異しているだろうが、変わりはないだろう。
最初はあの神様の事だから、転生先を間違えたとすら思ったものだ。
そんな風に思考をしていると、暖かな腕の中で安心感に包まれて、眠気がさして来た。
欠伸を噛み殺し、瞳を閉じる。すると、優しく頭を撫でる手の感触を感じた。
「おやすみなさいませ、時夜様」
その暖かく柔らかな声に、俺は意識を手放した。
4
「やっほー!可憐な美少女、ナルカナ様の登場よ」
時夜が眠りに就いた後。和室の扉を開けて、そこに異彩な服装を纏った少女が現れる。
否、少女と言ったがその存在は人には在らず。
現れた黒髪の存在は、永遠神剣第一位『叢雲』の化身。
「…ナルカナか、久しぶりだな。それにしても珍しい、お前が俺の部屋を訪れるなんて」
「ええ、久しぶり凍夜。時夜の顔を見たかったのと、ちょっと気になる事があってね。此処になら居ると思ったのよ」
ナルカナと名乗
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