そして時を刻む夜は舞い降りた。
眠る子と語らう大人
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る為に、使用どころを間違わない様にしなければならない。
それにまだ具現出来る武装は一本の為に、当然ながら禁手化などに至るまでにはいかない。
まぁ、身体を自分で動かせる年頃になってから色々と試してみようと思う。
不意に、意識が急に浮上して行くのを感じ取る。
俺のもう一つの意識と身体が目覚めようとしている様だ。
3
「おっ、起きたか時夜」
柔和な男性の声が聞こえてきた。
いつもの柔らかな腕の感触ではなく、男の筋肉質な腕に抱かれている事に気が付いた。
朧気な瞳を開くと、そこには久しぶりに目にする男性の姿が広がっていた。
男性にしては艶のある、肩まで届く青み掛かった銀髪に。
氷の様な、深海の様に引き込まれる程の蒼穹の瞳。
見た目から入って冷たい印象を受けるが、これまた以外に親バカな俺の父親、倉橋凍夜だ。
視線を左右に動かすが、母親の姿は見えない。
「んっ、お母さんか?今ちょっと出掛けててな、もう少ししたら帰ってくると思うぞ。それまでお父さんと居ような」
俺が思っている事を的確に射抜き、お父さんはそう告げる。
それに伴い、泣き始める俺。
これは俺自身でも止める事は出来ない。俺がなまじ言葉を理解している為。
赤ん坊の意識が事態を理解して母親を求めて、泣いているのだ。
今度はそれに伴い、お父さんが今度はどうしたらいいのかと、おろおろ…とし出す。
「…うわっ、困ったな。時深はまだ帰ってこないだろうし…泣き止んでくれよ時夜」
不器用な慣れない手付きで俺をあやそうとするが、一向に泣き止む事はない。
というか、逆に悪化し始めている気がする。
『ご主人様も、普段の仕事の相手とは打って変わって、時夜様には勝てない様ですね。』
『“絶刀”に同意だな。それに、泣き止まないのは普段から相手をしてやらないからだろう。それに数日ぶりで顔を忘れられている可能性もある』
「仕事の相手とは対応の仕方がまるっきり違うだろう“絶刀”。“継承”それは解ってはいるが、俺も忙しくてなぁ」
『典型的な、家庭を顧みない駄目亭主の様な発言ですね』
「……酷いな、お前ら」
その様子を見守るかの様に、屋敷の豊かな自然が覗く、縁側に立て掛けられた二本の趣向の異なる双剣。
それらの存在が、主である凍夜にしか聞こえぬ声で辛辣に言葉を告げる。
「どうされましたか、凍夜様?」
「…ああ、綺羅か。」
時夜の泣き声に反応して部屋を訪れたのか、そこには袴を纏った“綺羅”と呼ばれた少女が存在していた。
犬耳と尻尾を生やした、犬神と呼ばれる人間ではない種族の少女だ。
その少女は時夜にとっても見慣
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