一部 浮遊城アインクラッド編
まだ夜は明けず
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闇を貫く《ヴォーパルストライク》の血色の閃光が、俺の目の前の巨大アリ二匹のHPを同時にゼロにした。
「…………邪魔すんな、キリト」
「邪魔なのはお前だ、ソウスケ」
どのくらいこの狩り場に籠っているか、もう記憶にない。
「ちっ……………」
俺は、風魔一刀流…………………今は剣技創造スキルで生み出したソードスキル、直線突進技、《烈火》で巨大アリを三匹仕留める。
剣技創造でスキルを生み出すには、システムアシスト無しでスキルと同等のスピードと技のキレが必要だが、俺には造作もないことだ。
更には、敏捷値の補正とシステムアシストと同期した動きにより、《風魔一刀流》は恐ろしい程の威力を発揮する。
今じゃ俺の異名は《剣聖》だとさ。
そんな事を考えながらも俺とキリトは巨大アリの湧きがおさまるまで、ただ、狩り続けていた。
******************
俺達と入れ違いの様にクライン達、《風林火山》の面々が来たみたいだ。
「…………………」
俺は音もなく立ち上がる。
「おい………待てよ!ソウスケ!」
クラインに後ろから肩を掴まれる。
近くにいたキリトもこちらを見る。
「……………なんだよ………」
そう言った俺の声は、驚くほど掠れていた。
「お前ェも《蘇生アイテム》の話──」
「─知ってるよ、だから何だ? お前に何の関係がある? ひとつ忠告してやる……クライン、キリト」
二人の視線がこちらに向く。
「……今、俺のレベルは75、そして、ユニークスキルホルダーだ………邪魔したら誰だろうと、俺が殺す!」
「なっ!」
「マジかよ……」
二人とも驚愕する。
「俺のユニークスキルは《剣技創造》文字通り、《スキルを生み出せる》」
「…さっきのスキルはそれか?」
キリトが問う。
「あぁ………、風魔一刀流 参ノ型《烈火》 それがあの技の名前だ」
キリトもクラインも黙りこむ。
「……もう一度言う、邪魔したら誰だろうと殺す、それだけは覚えておけ」
俺は《転移結晶》を取り出す。
「転移…………《リンダース》」
*****************
《リンダース》
俺は街を当てもなくただ歩いていた。
何がしたい訳でもない、歩いていれば、誰かが自分を救ってくれる訳でもない。
分からない、何の為に戦えばいいのか。
分からない、何で生きているのか。
分からない、ヒナの死んだ意味が。
死ねば、楽になれるのだろうか?
俺は、きっと楽になれるはずない。
飛び降りる勇気など無い。
フィールドに出ても、体が勝手に反応し、倒してしまう。
「……………ソウスケ……君?」
昔、よく隣で聴いていた声に反応し、声の主を見る。
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