一部 浮遊城アインクラッド編
まだ夜は明けず
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肩にかかった、ストレートの青みかかった黒髪、可愛らしくまとまった顔立ち、血盟騎士団の制服を着た少女は─
「………サ………キ…………?」
サキだった、アスナともう一人、ベビーピンクのショートヘアの少女もいるが。
「ソウスケ君!!」
ガバッ、とサキが俺に泣きながら抱きついてくる。
「ソウスケ君、サキが凄く心配してたんだよ!」
「アスナ………」
俺は暫く目を閉じ、サキから離れ、口を開いた。
「《鼠》から情報を買ったな?」
「……えぇ、でも─」
「─メイワクだ、帰ってくれ、そして二度と攻略以外で俺と関わるな」
俺はアスナの言葉を遮る様に言った。
「ぇ……………」
サキが目に大きな涙を溜める。
「ちょ……っ! アンタ、いい加減にしなさい!」
ピンク髪の少女がズカズカと周りを気にせず大声を出しながら俺に迫り、俺の胸ぐらを掴む。
「…………何だよ?」
俺は少女を睨む。
「何って…………! アンタ、サキがどれだけ辛い思いをしてたか分かってんの!!?」
少女は物凄い剣幕で俺を睨みかえす。
「………………俺は、サキじゃない……だから知らな──」
バチィン!!!
俺は少女に頬を叩かれ、言葉を遮られた。
いや、最後まで言うつもりは元々なかった。
これで、サキもアスナも…………。
「…………アンタ、最ッ低ね………!」
とか思ってくれるだろう、目の前の少女と同じく。
「……そりゃどうも…………」
あえて俺は、嫌味っぽく言っておく。
「……………っ!!………………いこ、アスナ、サキ」
少女はもう一度、俺に掴みかかってくるかと思ったが、何とか堪えたらしく俺の横を通り過ぎて行った。
「……………」
「……………」
サキとアスナは無言で通り過ぎた。
俺は暫くの間、動けなかった。
─これで俺は、一人だ。
誰も、俺の事は心配しなくなる。
「…………ちど、もう一度、三人で過ごせる日まで、さようなら」
俺は闇夜の中に消えていった。
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