第一章 平凡な日常
28、お正月……のはずだけど
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
量の、要から放たれる殺気によって。
ただでさえ寒い1月だが、なぜか急に一気に気温が下がった。
その場にいた全員が、指一本動かすことができなくなる。
まるで凍りついてしまったかのように、体の自由を奪われてしまったのだ。
それは、超一流の殺し屋であるリボーンや、一大ファミリーのボスであるディーノに限っても、同じことだった。
一般人でしかない京子やハルに至っては、気絶寸前だった。
「 オレは……オレの家族は……ッッ」
要が小声で何か呟いている。
しかし、俯いている上にこの重圧の中、それを聞き取ることができない。
「要」
声をかける銀。
それでも要は呟き続け、更に殺気が増幅する。
心なしか、草が根本から凍りついて見えた。
「要!」
ドンッ
空気を震わせる衝撃音と共に、要がゆっくりと倒れた。
それを優しく抱えたのは、銀。
そう、あの中で唯一動くことのできた銀が、手刀で要を気絶させたのだ。
同時に辺りを支配していた殺気が消え去り、全員が動けるようになった。
京子やハルは、倒れる寸前のところを、ビアンキやディーノに支えられていた。
ツナは腰が抜けてしまい、地べたにへたり込んでしまう。
「今日は、ありがとな」
それだけ言うと、銀は要を背負い、彼らが乗ってきたバイクごと“消えた”。
†‡†‡†‡†‡†‡
「…………要」
あの日から3日が過ぎた。
要は、一向に目を覚まさない。
時折辛そうに魘される要を見るたび、オレの心が痛んだ。
「……………………」
恐らく今、要はクラッシュ状態に陥っている。
もっとも触れられたくない話題を、もっとも触れてほしくない人間に言われた。
それが要の精神を壊してしまった。
もしかしたら、目を覚ますことがなくなるかもしれないのが、現状だ。
『銀』
突然頭の中に響いてきた声。
この声は……。
「お、大神様」
オレたち神様の頂点に立ち、オレの唯一の上司、大神様こと惣右介様。
『惣右介でいいよ』
「惣右介様、一体何事でしょうか」
『君も分かっているだろう? そこにいる女、霜月要のことで話がある』
「はい」
『それと、君の部下を召喚したあの女のことだ』
その一言に、冷や汗が流れる。
バレてたんだな……。
当たり前だ、この人に隠し事なんて通じるわけがない。
だって彼は、創造主なのだから。
「わかりました、今行きます」
そう言うと同時に、目の前の空間に裂け目ができた。
惣右介様のもとへと繋がる唯一の空間。
オレは、要を一人残し、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ