暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
A's〜オリジナル 日常編
45話:冬といえば雪
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フェイトからペットボトルを返してもらい、俺も一口口にする。

「…これって、間接キス…だよね…(ブツブツ)」
「ん?どうかしたか?」
「い、いや…なんでも…!」

何かフェイトが言ったようだが、聞き取れなかった。まぁ、なんでもいいけど…

「………」
「……士?」
「ん〜?」
「何か…悩んでる?」

随分とあっさり心の奥を突っ込まれ、俺は思わずフェイトの顔をのぞいてしまった。

「…図星?」
「…はぁ〜…ポーカーフェイスには自身ある方なんだけどなぁ……なんでわかった?」
「なんとなくそう思った」

なんだよそれ、と思いながら俺は天を仰いだ。未だに降り続ける雪の中、ただ月だけが空に光っている。

「やっぱり、リインフォースの事まだ気にしてる?」
「そりゃあ、表立ってないにしろ、あの事件でいなくなったのは、アイツだけだからな」

あの状態ではリインフォースを助けられなかったのは確かだ。でも、頭ではわかっていても心では割り切れない時だってある。それが…今なんだ。

「どうにも心残りが消えない。頭の片隅で、変な違和感があるんだ。割り切ろうとしても、どっかで引っかかる」

俺の横顔をじっと見つめたまま、俺の言葉に耳を傾けるフェイト。何か思ってか、今度はまっすぐ月を見上げた。

「…クロノがね、私となのはが士と同じように落ち込んでたときにね、言ってた言葉があるんだ」
「……奴は、なんて言ってた?」
「『過ぎた事をいつまでも悔やんでも、前に進む事はできない。なら僕たちが見るべきなのは後ろじゃなくて、むしろこれから先のことなんじゃないか?』って」

クロノの口調をフェイトは真似しながら言う。なんかその光景が、少し微笑ましく見えた。

「先、かぁ…」
「うん……」

俺達の間を過ぎる数秒の静寂。目先に見える風景は、音もなく動き続けている。
口火を切ったのは、フェイトだった。

「……士、私決めた事があるんだ」
「?」
「私、ハラオウン家に…お世話になる事にしました」

何故かかしこまって言われたフェイトの言葉に、一瞬目を開く。が、すぐにそれもなくなり、俺は小さく笑みを浮かべた。

「そうか、ついに腹くくったか」
「腹をくくった、とはまた違うと思うけど……うん、そう決めた」

それとね、とフェイトは続ける。

「執務官を、目指す事にしたの」
「クロノと同じ、か?」
「うん…」
「いいのか?クロノも言っていたが、結構きつい仕事らしいが…」
「わかってる。でも、私と同じような境遇の子供達を…自分と同じ気持ちになっている人を助けたい、救いたいと思ったから」

フェイトはそう言って、今度は俺の顔を覗いてくる。


―――士は、これからどうしたい?



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