ジェラール
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手首はくくられている。
そして柱の1本に腕を回す状態の為、自由に動けない。
「船?」
「そう・・・楽園の塔へと向かう船の中さ」
ショウの言葉に言葉を失うエルザ。
しばらくして、溜息をつく。
「そうか、そうだったな・・・」
伏し目がちに俯く。
「ほどいてくれないか?抵抗する気はない」
「そうはいかないよ。姉さんは裏切り者だからね」
「くっ」
試しに手首を動かしてみるが、逆にキツくなるだけで、メリットはなかった。
「無駄だよ。ミリアーナの管には魔法を封じる力がある。自分の力じゃどうにもならないよ。いくら姉さんでもね」
そのチューブを自力で引きちぎった男が1人いるが・・・。
まぁ、あれはルーシィのピンチに反応したからその反動か何かで引きちぎれただけかもしれないが。
「わ、解った・・・じゃあ、せめて鎧に換装させてくれないか。怖いんだ・・・あの塔へ戻るのが・・・鎧を纏っていないと、不安で・・・」
「その服も似合ってるよ、姉さん」
不安げに呟くエルザを、ショウはがしっと抱きしめる。
「ショウ・・・」
「本当はこんな事したくなかったんだよ。会いたかったんだ・・・本当に・・・」
そう言いながらエルザの肩辺りに顔を埋め、涙を流す。
「姉さん」
・・・が、ショウの声色が、一気に変わった。
「何で・・・俺達を・・・」
涙がショウの頬を伝うのを、エルザは至近距離で見た。
怒りで血管が浮き、目を見開いている。
「ジェラールを裏切ったァ!」
(ジェラール・・・)
ショウの言葉に、エルザの脳裏に過去の記憶が蘇ってきた。
「姉さん!こっちだよ!早く!」
「ショウ!でけぇ声出すんじゃねェヨ!」
「ウォーリーの方が大きい声ーみゃあー」
「へへっ、すまねぇミリアーナ」
幼きショウがエルザを呼び、その声の大きさを注意するウォーリー(ちなみに四角くはない)。
が、ミリアーナに逆に注意され、デレーッと笑みを浮かべる。
どうやらウォーリーはミリアーナに甘いようだ。
「エルザ・・・急がねぇと奴等に見つかっちまう」
「う・・・うん・・・」
シモンがエルザの方を向きそう言うと、幼きエルザは震えながら返事をする。
脚はガクガク震え、びくびくと、ぶるぶると恐怖で全身が震えていた。
「も、もし・・・もしも見つかったら・・・私・・・見つかった子がどうなったか知ってる・・・」
もし見つかったら自分がどうなるか・・・。
それを知っているエルザは恐怖で一歩を踏み出せなかった。
「大丈夫・・・怖くないよ」
「!・・
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