第一章 平凡な日常
27、今日はなんの日?
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いつも通りでした。しかし」
「……何?」
逆接の言葉に、ふと手が止まった。
手を止めたついでに草壁を見る。
その顔には心配そうにする表情が浮かんでいた。
「やはりと言いますか、最近はお疲れのようです。少し彼女への仕事を減らしてあげませんか?」
「それはできないよ。並盛に関するすべての書類がこの風紀委員に回ってくる。その忙しさは君だって分かっているだろう?」
「確かにそうですが、彼女は我々と違って女子であると言う難点があります。このまま体調管理を怠ってしまえば……」
体調管理、か。
そう言えば自分達と同じように扱いすぎて、あまりそこを気にしていなかった。
風紀委員は力はもちろん、体力勝負でもある。
体調管理が物を言うのは間違いない。
それ以前に、彼女は、女子だ。
「フッ。僕がこんなにも君に気を使うとはね」
いくら取って付けた力で強く見せても、元が弱ければ何の意味がない。
それが彼女であり、僕はその弱さに惹かれたのも事実。
「草壁、あとで冷蔵庫の中身、増やしておいてね」
「……? はい」
†‡†‡†‡†‡†‡
「はぁ……。それにしても、あのバイクどーすっかなぁ」
たった3分しかない帰り道を歩きながら、オレはそんなことをぼやいていた。
だってさ、バイクだぜ?
明らかに中学生が中学生に贈るようなもんじゃないし、第一オレが贈られるようなもんでもない。
「最近のあいつ、何考えてんのか分かりゃしねぇや」
ふと、すでに家に着いてしまったことに気づく。
周りの家が煌々と明かりがついているのに対し、真っ暗なオレの家は、つくづく独り暮らしを痛感させた。
一応ポストの中身を確認すると、小包が1つ入っていた。
宛名は、『山本武』。
あいつもオレの誕生日知ってたのか。
それをスクールバックにいれて、玄関に向かった。
ガチャッ
「ただいまー」
誰もいないと分かっていながら、ついそう言ってしまう。
昔からの癖は、8年経った今でも抜けることはなかった。
その時だった。
バチッ
一気に家の明かりがついた。
パパパパンッ
「「誕生日おめでとう!!」」
突然鳴り響いたクラッカーの音と、二人分の声がオレを出迎えた。
困惑するオレの目の前にいたのは、凪と入江だった。
「おかえり」
「遅かったね。ほら、準備できてるよ」
いまいち理解できないまま、凪と入江に腕を引かれリビングへと連れていかれた。
と言っても、扉1つしかないが。
その向こうの光景は、信じがたいものだった。
紙の輪で飾り付けられた部屋。
テーブルに並
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