そして彼の道行きは
プロローグ
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俺が死んだのってアンタが関わってたりしないか?」
「…あっ……えっ、と…そ、そんな事ないですよ!!」
俺の思考を読み取っていたのか、その質問に動揺して返す少女。
―――黒だな。
どうやら、この少女はあまり隠し事が得意ではないらしい。
その態度で、すぐに黒と断定出来る。
「正直に話しなさい。今ならまだ怒らないから」
「……あぅ、本当ですか?」
「まぁ、事と場合によるな。」
そう言うと、彼女はぽつり…と語り始めた。
俺は腕を組みながら、彼女のその話に耳を澄ます。
2
目の前の神様曰く。
正規の神様になる昇格試験の死者を選別する実習の際、その際に居眠りをして手違いを起こしてしまった。
それが俺らしい。
本来は俺が死ぬ事はなく、庇った女の子と一緒に助かる筈であったと。
神様曰く。
間違えて死なせてしまった為に、天国や地獄に魂の行き場がなく、事がバレると試験に落第する。
以上。
思いっきり、黒じゃないか。
「それじゃあ、俺の助けた子は生きてるって事か?」
「…はい。貴方のおかげで掠り傷一つ負っていませんよ」
それが聞けて一安心した。
ぐったりと群青色のテーブルにうつ伏せに身を預ける。
「そっか、良かったぁ」
先程、神様は意味深な発言をした為に、とりあえず胸を撫で下ろす。
何もない俺でも、最後に誰かを助ける事が出来たのだ。
「そのぉ…怒っていませんか?」
「怒っていると言えば、怒っているかな。誰にでも間違えはある、けどそれを隠蔽しようとしたのは頂けないな」
「あぅ、ごめんなさい…」
「それだけだよ、別に間違えて殺した事については怒ってはいないさ。…どうせ、嘆いた所でどうしようもないしな」
まぁ、元の世界に未練がないと言われれば、あまり未練があった訳ではないしな。
生前の俺は少しばかり過去にトラウマを抱えた、至って“普通”の大学生であった。
それに転生という名の転機が訪れたと、前向きに考えれば良いだろう。
「私が言うのはなんですが、貴方はとてもお優しい方なのですね」
少々物思いに耽ってると、目の前に座る少女が優しげな笑みを浮かべていた。
「……突然どうした」
「いえ。自分の身よりも死して尚、庇った女の子の身を案じるのですから」
「確かに、うっかりと人を殺す駄神様には言われたくないな」
「うぅ……すみません」
シュン…と、小動物の様に小さくなる神様。
少し可愛そうと思いながらも、同時に可愛くも見えた。
「…そんな、可愛いだなんて」
また人の心内を読んだの
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