そして彼の道行きは
プロローグ
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はい、何でしょうか?」
目の前の少女、自らを0と名乗った神様に問い掛ける。
つい先程説明を受けたが、この少女は神様候補生(自称)。
そして此処は、生と死の狭間の境界らしい。
最初は信じてはいなかった。
だが、自らが死んだ記憶を保有している為に、半信半疑ながらも信じざる負えなかった。
「むぅ、自称じゃありませんよ。本当に神様候補なんですから」
「自然に人の心内を読むな。それで、質問いいか?」
「はい、大丈夫ですよ。なんですか?」
俺は人の心内を読んで頬を膨らませる少女。
それを愛らしいと思いながらも、気になっていた事を切り出す事にした。
「…そんな、愛らしいなんて」
「お〜い、戻って来いよ。おいってば」
俺の思考を読み取っていたのか、頬を抑えて身悶える神様。
何やら一人でトリップして盛り上がって、一向に此方の話は聞こえてないと見える。
この神様、妄想癖でもあるのだろうか?
「てぃ!」
「痛っ!……うぅ、痛いです。何をするんですかぁ」
俺は妄想世界に浸っている少女を現実世界に引き戻す為に、その脳天に軽く手刀を落す。
すると衝撃で現実に戻ってきたのか、涙目で頭を抑える。そんな光景ですら絵になって見える。
「人の話をちゃんと聞かない、そっちが悪い」
「うぅ、すみません」
「それで、話の続きだが、いいか?」
「はい、大丈夫です」
コホン…と、咳払いをして、心機一転といった感じに少女はそう答える。
そんな少女に、俺は今一番気になっていた事を言葉にする。
「俺の庇った女の子はどうなった?」
それが、今の俺の置かれた現状よりも気掛かりだった。
あの女の子はどうなったのだろう。
俺はちゃんと、あの子を助ける事が出来たのだろうか?
「それが、その……」
目の前の神様は何処か言い辛そうに、言葉を濁す。
その醸し出す雰囲気に、俺は最悪の光景が頭を過ぎる。
「えっと……その前に、貴方に伝えておかなければならない事があるんです」
「いや、その前に質問に答えてくれよ」
俺の質問を逸らし、瞳を伏せた。そうして、彼女は言葉を切り出した。
「貴方には“転生”して貰います」
「……転、生?」
思わずその言葉に首を捻る。
生前。よく読んでいた二次創作の転生モノの導入、それに近しい事を少女は口にした。
ああ言うのって、確か。
神様が自らの不正や暇つぶしの為に、死んだ人間を別世界や、二次創作の世界に転生させるんだったか。
転生モノのテンプレで言うのなら。この目の前の神様は一体、どちらなのだろう?
「なぁ、もしかして。
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