キラーパンサーに転生
12命の選択
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雪の女王さまは、本当は女王さまじゃなくても勝手に女王さまを名乗っちゃうだけあって、とっても強かった。
魔法が使えるドーラちゃんやベラさんとは違って、あたしにできるのは攻撃と身を守ることと、当たらないように避けることくらいだから。
頭を使うことは二人に任せて、あたしはドーラちゃんの指示に従って、身を守らないといけないときはそうして、攻撃できるときはどんどん攻撃していったんだけど。
一番強くて体力のあるドーラちゃんは、それなりにダメージを受けてても、効率を考えてすぐには治さないでそのまま戦い続けてることが多くて、見てるのがつらかった。
ゲームなら数字で割り切れることが、現実ではそうではないんだ。
これはほんとに現実の、命を懸けた戦いなんだって痛いほど感じながら、それでも攻撃の手を休める暇なんてなかった。
だってそんなことしてたら、ほんとに死んじゃうから。
あたしが油断してあたしが死ぬならともかく、あたしのせいでドーラちゃんが死んじゃうなんて、そんなのは嫌だから。
せっかく仲良くなれたベラさんが死んじゃうなんて、そんなのも嫌だから。
あたしの大事な人たちを守るためなら、目の前の生き物を殺すことに、ためらいなんてない。
これまでだってあたしは、自分が生きるために他の生き物を殺して、命を食べて生きてきたんだから。
食べる以外でも生きるために殺さないといけないことがある、ここはそういう世界だから。
なにを殺してなにを生かすか選び続けないといけないこの世界で、あたしが一番に生きていてほしいのは、ドーラちゃんだから。
そのためならあたしの命だって惜しくないのに、目の前の敵を殺すことにためらいなんて、あるはずがない。
どんな理由でも、あたしが攻撃の手を緩めたせいでドーラちゃんを死なせちゃうだなんて、そんなのは許せない。
傷付いたドーラちゃんの姿に密かに心を痛めながらも、ドーラちゃんがきちんと勝てるように計算して指示を出して、それにきちんと従って戦ったあたしたちが、負けるはずがなくて。
とうとう雪の女王さまは戦う力が尽きてその場に倒れて、あたしはもう止めを刺してもいいのかどうか、相手を威嚇しながらドーラちゃんの指示を待ってます。
こんな、人みたいな生き物を殺したことは、あたしだってまだないけど。
でもドーラちゃんのためならそれくらい、いつでもする覚悟はあるから。
ドーラちゃんに会わないまま大人になってたら、きっと心の底まで地獄の殺し屋キラーパンサーになってたんだから、あたしにそうさせることをドーラちゃんはためらわなくてもいいんだから。
だから、ドーラちゃん。
あたしに指示を、ちょうだい。
そんな気持ちで、待ってたのに。
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