第五十八話 大刀その十三
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「知識ってのは古文書だけから手に入れるものじゃないからな」
「聞いたりしてもですか」
「ギリシアにも色々な人がいるだろうしな」
それでだというのだ。
「そこから聞いたか」
「とにかく銀月さんが色々とご存知なのは間違いないみたいですね」
「それはな」
中田も確実と言う。
「俺達よりずっとな」
「ご存知ですよね、戦いのことを」
「そうだな。しかしギリシアか」
中田は今度はこの国、聡美のもう一つの故郷であるこの国のことも考えてそうして上城に述べたのだった。
「あの国か」
「ギリシアが何か」
「ギリシアっていったら神話だけれどな」
誰もが連想するこのことをイメージしたのだ。
「ほら、ギリシア神話な」
「あれですね」
「ゼウスとかな。で、俺達の戦いは日本でやってるけれどな」
「それが合わないですか」
「随分離れてるな、どうなんだろうな」
こう上城に言ったのである。
「その辺り関係あるのかね」
「どうなんでしょうね」
「その辺りもわかればいいんだけれどな」
それでもだというのだ。
「俺達は何も調べられないしわからないからな」
「僕達完全に受身ですよね」
「ああ」76
それはだった、それで中田も言うのだ。
「戦いのことを知るってことにはな」
「十三人いてそれぞれの力があることはわかってますけれど」
「他にはだよな」
「誰が剣士かも知りませんでしたし」
最後の一人が誰かもまだわかっていないのが現状だ。
「本当に」
「どういった戦いか知りたいものだよな」
「そう思います」
「まあ俺は戦ってな」
そしてだというのだ。
「得るもの得たいけれどな」
「目的ですね」
「ああ、俺のな」
それが何かは今も言わない、だがそれでも言うのだった。
「それがあるからな」
「どうしてもなんですね」
「人間って難儀だよな、どうしてもって時もあるからな」
「そういうものですよね、どうしても」
「その必要がなくなったらな」
ふとこうしたことも言う中田だった。
「いいんだけれどな」
「そうですね、その時は」
「そうならないのが本当に世の中だよ」
苦笑いをしてこうも言うのだった。
「まあl君ともまた闘うことになるさ」
「そうですね」
上城は中田の今の言葉に暗い顔になる、だが本人はというと。
いつもの明るく気さくな顔でこう言うだけだった。
「お互い後腐れなくいこうな」
「そして闘う時以外はですね」
「こうして仲良くやろうな」
「はい」
今は中田のその言葉に頷くしかなかった、だが上城は彼とはどうしても闘いたくないと思った。そこに世代を超えたウ友情を感じていたからこそ。
それは中田も同じだ、だがそれでもだった。
「犠牲にして、か。本当に難儀なものだよ
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