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久遠の神話
第五十八話 大刀その十一

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「不思議だろ、ワープしてるっていう感じでな」
「ワープは言い過ぎなんじゃ」
「本当にそうだろ、それこそ携帯で連絡をしたらな」
 それでだというのだ。
「もう出て来る位にな」
「ううん、確かにいつもいいタイミングで出て来られます」
「そのことを考えるとな」
 中田はフォーク、スイーツ用の小さなそれでザッハトルテを切りそのうえで小さく切ったその一片を口の中に入れながら述べた。
「やっぱりな」
「銀月さんはですか」
「妙なんだよ。それに」
「今度は一体」
「あの人綺麗だよな」
 今度は彼女の美貌についての話だった。
「かなりな」
「はい、髪の毛がさらりとして豊かな銀髪で」
「本当に白銀の色だよな」
「はい」 
 さながら銀を溶かした様な、聡美の髪の毛の色はそうした見事な光沢を放っている銀なのだ。
「あんな銀髪もあるんですね」
「西洋人には確かに銀色の髪の人もいるさ」
 金髪と同じくである、これは年齢によるものではない。
「それでもあそこまで綺麗な銀髪はな」
「ちょっとないですか」
「それに目もな」
 次はこれの話だった。
「目も綺麗だろ」
「緑で」
「エメラルドみたいな、な」
「あっ、言われてみればそんな感じですね」
「綺麗っていってもな」
「綺麗過ぎるっていうか」
 上城もまたコーヒーとザッハトルテである。そのザッハトルテを中田と同じ様に食べつつそのうえで言ったのである。
「この世にないみたいな」
「目もな」
 髪の毛だけではなく、というのだ。
「本当にこの世、いや人間じゃないみたいな」
「神秘的な感じで」
「顔立ちだってモデルっていうか彫刻だよな」
 中田は聡美の顔立ちをそれだと話した。
「ギリシアのな」
「背も高くてすらりとしていて」
「綺麗過ぎるんだよ」
 これが中田の聡美への評価だった。
「戦いのことを知ってて滅茶苦茶タイミングよく出て来てな」
「それであれだけ綺麗だと」
「不自然なんだよ」
 あまりにも、というのだ。
「一つでも妙だけれどな」
「綺麗なだけではそこまでは、ですよね」
「まあ大女優とかトップモデルとかな」
 まだこれで納得出来るかもと言う、だが他の二つはだった。
「後の二つはな」
「どうしてもですか」
「納得出来ないな」
 普通の人間にしてはというのだ。
「そもそも何処で戦いのことを書いた古文書か」
「それですね」
「それギリシアの神様の神殿で見つけたらしいけれどな」
 このことは既に聡美自身が中田達に話している、だから二人も共通の知識として頭の中に入れていることなのだ。
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