第五十八話 大刀その九
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「あの娘が善意の人であって欲しいよ」
「全くだ、見たところ悪意のある娘ではないな」
「はい、そうですね」
暫く黙って話を聞いていた大石も言ってきた。
「彼女には悪意はありません」
「僕達に対してですか」
「戦いについて、善意はありますが」
その逆にあるものはないというのだ。74
「悪意はなく。私達をいつも心配していますよね」
「そうそう、そうなんですよ」
高橋も大石の言葉に手を前後に振って応える。
「あの娘は俺達を心配してますよね」
「そうですね」
「悪意はなくて」
「それで戦いを止めようとしている私達にも協力的ですが」
「教えてくれていますし」
「ですが」
ここで大石は言った。
「あの方は私達以外にもどなたかを見ているでしょうか」
「誰かをですか?」
「何かを見ています」
彼等の誰か、若しくは戦い以外の何かをだというのだ。
「あの緑の目で」
「いつも遠く見てますからね」
「遠くですね」
「はい、その先にあるものが何か」
高橋に応じながら工藤と上城にも話す。
「それが問題ですね」
「そもそも彼女はどうやら」
工藤はここであることについて言及した、それは何かというと。
「古代のギリシア文字が読めるな」
「古代のですか」
「古文書を読んだというからな」
「そういえばですね」
上城もここでこのことに気付いた。
「今のギリシアの文字と昔のギリシアの文字は違いますね」
「原型ではあってもな」
それでもだというのだ。
「今の文字とは違う」
「そうですね」
「それにだ」
工藤はさらに話す。
「印刷が出来たのは中国の宋代だ」
「つまりそれ以前の文字は」
「全て手書きだ」
これはギリシアだけでなくその活字印刷を発明した中国でもアラビアでも同じだ。無論日本とて例外ではない。
「手書きの文字、古文書の解読は難しいらしい」
「らしい、ですか」
「俺はそうしたことは学んでいない」
高校では古文書の解読はまだ習わない、工藤は高校を卒業してすぐに自衛隊に入った、だから大学で学ぶ古文書のことは断言出来ないのだ。
それは高橋も同じだ、それで大石が話したのである。
「古文書の解読はそれだけで特別のスキルです」
「特別ですか」
「かなり高度の。日本語も同じです」
「日本語もっていいますと」
「平安時代、いえ戦国時代でもいいです」
時代は違えどというのだ。
「古典や手紙の解読は非常に難しいです」
「そういえば昔の人の文章は」
上城はテレビのことを思い出した、テレビの番組では歴史のものもある。その歴史番組で古文書が出て来ているというのだ。
その古文書についてだ、上城も気付いたのだ。
「凄く読みにくい字を書いていますね」
「巻物等にですね」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ