楽園の塔
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「ショウ・・・」
「久しぶりだね、姉さん」
親しげにエルザを「姉さん」と呼ぶ青年『ショウ』。
が、久しぶりという事は再会を喜んでもいいだろうに、エルザの顔から驚愕は消えない。
「え?え?」
「姉さん?エルザ・・・弟いたっけ?」
状況を把握できず困惑するルーシィとルー。
「無事・・・だったのか?」
「無事?」
「あ、いや・・・」
あのエルザが。
ナツやグレイも恐れる妖精女王のエルザが、明らかに怯えている。
会話をするたびに、声が震えていく。
一方、同じカジノの別の場所で、グレイとティアは巨漢と対峙していた。
「エルザはどこだ?」
「ア?」
「どこだ?」
「誰なの、アンタ・・・エルザの知り合い?」
突然現れエルザの所在を尋ねる巨漢を怪しむなという方が無理だろう。
グレイもティアも巨漢を睨みつけ、ティアに至っては殺気全開モードだ。
「!」
すると、グレイとティア、巨漢の間に体を水にしたジュビアが割り込み、2人を守るように両腕を広げて立つ。
「グレイ様とティアさんには指1本触れさせない。ジュビアが相手します」
「ジュビア」
「エルザさんの下へ・・・危険が迫ってます」
「なるほど。コイツが危険分子?なら消すに限るわね」
エルザの下へ行くよう促すジュビアの後ろで、ティアも戦闘態勢を取る。
すると、突然巨漢が自分の頭に左手の人差し指と中指を当てた。
「ん?もう見つかっただと?ほう・・・そうか。じゃ・・・片付けていいんだな?」
1人でブツブツ呟く巨漢を敵対意識だけの目で見る3人。
「了解」
巨漢が呟いたと同時に、辺りが暗闇に包まれる。
何かを察知したグレイが自分の前に立つジュビアを押し退けた。
そしてその暗闇は一気に周りが全く見えないほどの暗闇になる。
「え!?」
「な、何だコレは!?」
「っ!来る!」
突然の暗闇に戸惑うグレイとジュビア。が、ティアは1人冷静に巨漢の方を向く。
彼女はどんな敵をも逃がさない、凄腕の狩人だ。
この人工的に、魔法的に創られた暗闇など数えきれないほどに経験している。
だから冷静に、至って冷静に、巨漢がどこにいるかを把握できたのだ。
「闇の系譜の魔法、闇刹那」
が、暗闇の術者には敵わない。
何人もの魔導士を倒し、魔導士でない人も倒し、とにかく闇に生きる悪党共を再び闇に生きようなどと考えたくなくなるほどに叩き潰し、その事から闇の世界で闇狩りの戦乙女の名で呼ばれるティアだが、相手は暗闇の術者。いわば闇系魔法のスペシャリストだ。
「ぐはっ!」
「きゃあ!」
「くっ!」
鈍い音が3つ、そ
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