一部【スサノオ】
十章【災厄】
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リくらいしてあげるよ」
よせ、と哲二を言葉で止める綾部。
「ともかく、その件は現場の穐山博士及び源生大佐に任せるよ。ただし、私への定期的な報告は怠らないように頼むよ」
「それは勿論さ!」
「では、次にフロンティア計画における…」
長々と続く会議の最中、源生が頭の中に巡らせていたことは目の前の穐山哲二の事だった。
今回の一件で哲二の潔白が証明されたことになるのだが、それでもなお釈然としない違和感の残る源生。
会議で討論し合う哲二を見ながらも、その違和感が何なのかを自問自答していた。
「さて、概ねの項目を消化できたわけだけど、他に何か報告すべきことはあるのかな?」
再びしんと静まる会議場内。
「では、解散としようか」
綾部の一言で次々と退室していく有権者達。
「いいか、覚えておけ…必ずわたしを侮辱してくれた貴様達を後悔させてやる」
凄まじい剣幕で哲二を睨みつけそう言い捨てると、林首相もズカズカと退室していった。
「やれやれだね。短気は損気という言葉を知らないのかね、彼は」
「お前が悪い」
自覚していない哲二へと呟くと林の後に続き退出する源生。
そして、広い会議場内には綾部と哲二。
綾部は静かに席を立つと、入口へと向かう。
が、その手前でぴたりと止まると…
「さて、うるさい人たちも居なくなったことだしそろそろ『本題』を話そうか」
そう言うと、綾部は入口の扉を閉じる。
「どうやら北方本部の方は順調に占有率を上げているそうだよ」
「へぇ、そいつはすごいね。だけど、それも今のうちさ…『彼ら』は人口技術力共に優秀だけど、いかんせん傲慢すぎるからね。いずれネイティブの力を見誤って崩壊するよ」
「大した自信だね。まぁ、君の事だから何か確証があって言っているんだろうけれど」
静かに席へと戻る綾部。
「だが、あまり悠長にもしていられないよ?忘れたわけではないだろう?。このフロンティア計画の目的を…」
「もちろんさ。このフロンティアで占有した領地がそのまま移住後僕たちの国の領地になるというやつだろう?さしずめ、ネット戦争って感じだね」
「この件に関して君が興味を示していないのもわかっているよ。それでもこれには君の頭脳が必要なんだ…あまり変な研究にばかり力を入れるのは止めないか?」
「変な研究とは心外だよ綾部『博士』。…その研究の話は源生から聞いたのかい?」
「そうだよ。源生大佐から色々と君に対して不安にさせられる報告を聞いていてね」
ニヤリ、と笑みをこぼす哲二。
「君もその話を信じているのかい?」
「さぁ?私にはいまだに君の真意が読み切れないからね」
一瞬の沈黙。
お互いがお互いの思考を探る
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