第5章 契約
第77話 風の眷属
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ず。
もっとも、俺はタバサとも、そして湖の乙女や崇拝される者ともあっさりと術を重ねて来ましたから、これは俺自身の術の特性かも知れませんが。
まさか、マジャール侯爵夫人の彼女も、俺の前世に何らかの関係が……。
いや、今回の場合は、俺の術を制御しているのがタバサで有る以上、タバサとこのマジャール侯夫人との間の血縁的な繋がりが、異なる系統の魔法を重ねる事を可能としているのでしょう。
遙か上空から振り下ろされる拳が、俺とマジャール侯爵夫人の構築した不可視の壁により完全に阻まれて仕舞う。
少し首肯く俺。これならば問題はない。
俺は右隣に立つ……俺と同じように滞空するシャルに、この世界で得た大切な家族の身体を差し出す。
シャルに取ってはおそらく意味不明の行為。彼女は、タバサが何故、意識を失って居るのか判っていないはずですし、そもそも、タバサの事は知らないはずですから。
しかし、何も言わずに、そして、俺がそうして居たように、優しくタバサの身体を受け取ってくれた。
これで、タバサの身体に関しては問題なし。後は……。
「マダム。このまま、結界の維持をお願いしても宜しいでしょうか?」
今は俺と彼女が維持している結界を、彼女一人に支えて貰う。
タバサやアリアと良く似た容貌に、柔らかい母の笑みを持って首肯くマジャール侯爵夫人アデライード。
そして、その間に――――
魔法陣の効果範囲から、更に上空へと抜け出す俺……そして、アリア。
俺が覚醒した龍種なら、彼女もまた同じ。
飛竜から降りたとしても、呪文も使用せずに飛ぶ事が可能。
配置は彼女が前。俺はその後ろ。
高く掲げた俺の右手の先に現れる蒼白き光輝。
そして、右足を前。左足を後ろ。やや腰を落とし抜き打ちの形を取る龍の戦姫。
すべての存在から動きを奪い去る拳が遙か上空から振り下ろされる。それは大気を引き裂き、過ぎ去った後に真空状態を作り上げながら俺と、龍の戦姫を捉えようとする。
俺の龍気の高まりは間に合わない。確かに最初の時……。カジノ事件の時から比べると、明らかに素早く気を練る事は可能と成りましたが、それでも、一瞬で為せる程の練度を持って居る訳では有りません。
以前にも言ったように、術を構築するのに長々と呪文を詠唱しなければならないような魔法使いでは戦場に立ったその日が命日と成る可能性が高いのですから。
宝刀の柄に右手を掛ける龍の戦姫。その身体の周囲を活性化した精霊たちが舞い踊り、淡いキルリアン光に似た光が包み込む。
やがて――――
彼女から発生する光輝がそれまで以上の。俺が発生させつつある光輝と同等の光を発生させた。
その瞬間、抜き放たれる七星の宝刀
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