第5章 契約
第77話 風の眷属
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の槍は、この世界の龍種の気を操って魔法として使用出来る魔法の杖の代わり。
龍気としてはごく一般的な発露の方法。眩いまでの蒼光。そして耳を劈く轟音。雷がビヤーキーを襲い次々と撃ち落として行く。
その刹那。新たに現われた飛竜の一団に振り下ろされるイタカの拳。何処までも容赦がなく、無慈悲で残酷な終わりをもたらせる邪神の拳。
徐々に通常の空間が支配する領域を広げられながらも、未だ狂った世界を維持し続ける天上より腕が伸び来る。今までは狙われる一方だったのでつぶさに観察する余裕など存在して居なかっただけに、その拳の持つ圧倒的なスピードと、すべてを氷つかせるだけの霊気の総量に慄然とさせられた。
しかし!
その拳の前に存在する一騎の飛竜。その飛竜に騎乗する一人の竜騎士が自らの腰に差す宝刀を高く掲げた。
その宝刀……いや、七星の宝刀が彼女の霊気の高まりに呼応するかのように強く輝く。
そして!
振り抜かれる一閃。その瞬間に放たれる光の奔流。
対するは遙か天上から振り下ろされる絶対零度の拳。
光と冷気の接触!
そして、一瞬の拮抗。
しかし、それでも届かない。神に己の思いを届かせるには、蒼き竜の戦姫アリアでも足りなかったと言う事なのか。
最初の勢いを殺されながらも、更に下降を開始する絶対零度の拳。
このままでは――
但し、その一瞬の拮抗が産み出した時間は無駄ではない。
アリアの放った蒼き龍気を退け、しかし、その事に因り勢いの削がれた絶対零度の拳の前……何もない宙空に浮かび上がる魔術回路。
おそらく西洋風の術式。しかし、系統魔法と称されるこの世界の魔法では見た事がない防御結界用の魔法陣が展開され――――
魔法陣と神の拳の激突!
その瞬間に、俺の全面に対冷気用の結界を展開。同時に俺の右横に立つシャルが、彼女の風招術の風防陣を展開させた事が感じられる。
俺の視線の高さよりも下方で発生した衝撃波が、凝縮された冷気と邪気により造り出された邪神の右腕を粉砕!
そして、そのすべてを氷つかせるだけの冷気を伴った破壊の風が、俺とシャルが構築した防御陣を叩いた。
此の世ならざる咆哮が鳴り響いた。それはまるで、魂を冒す絶叫。並みの人間ならば間違いなくその響きの中に畏怖を覚え、その場にひれ伏し、神の怒りが鎮まるまでただ耐え忍ぶしか方法を持たなくさせる響き。
しかし、ヤツよりも神格の高い存在と既に何度も対峙して来ている俺とタバサには意味はない咆哮。
「無事ですか、二人とも」
百メートル以上の距離をほぼ一瞬で詰め、飛竜を操るリュティス魔法学院の制服と闇色のマントに身を包んだ少女がそう話し掛けて来る。
今では俺と同じ色に成った髪の毛を、戦闘の邪魔
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